変異ウイルス「ミュー株」国内初確認 “ワクチンに影響も”WHO

ことし7月にかけて空港の検疫所で新型コロナウイルスの検査を受けて陽性と確認された2人が、WHO=世界保健機関が「注目すべき変異株」に指定した変異ウイルスの「ミュー株」に感染していたことが分かりました。国内で確認されたのは初めてです。

変異ウイルスの「ミュー株」は南米やヨーロッパで報告され、WHOは先月30日、ワクチンの効果や感染力に影響を与える可能性などがある「VOI=注目すべき変異株」に位置づけました。

厚生労働省が、検疫の検査で採取された検体について遺伝子解析の結果をさかのぼって調べたところ
▽ことし6月26日にUAE=アラブ首長国連邦から成田空港に到着した40代の女性と
▽7月5日にイギリスから羽田空港に到着した50代の女性の2人が
ミュー株に感染していたことが分かったということです。

国内でミュー株への感染が判明したのは初めてで、国立感染症研究所の脇田隆字所長は「さまざまな変異ウイルスが出てくるが従来のウイルスを押しのけて拡大する状況があれば注意が必要で、情報を集めていく必要がある」としています。

WHOによりますと、ミュー株はワクチンの効果に影響を与える可能性があると指摘されていて、ことし1月にコロンビアで初めて確認されて以降、30か国以上で感染が報告されています。

加藤官房長官「変異株の動向を監視」

加藤官房長官は、2日午前の記者会見で「WHO=世界保健機関によると『ミュー株』の変異には、ワクチンへの影響がある可能性が示唆されているが、さらなる調査が必要とされているところだ」と述べました。

そのうえで「引き続き情報収集をしっかり行い、検疫で陽性が判明した検体全例について、国立感染症研究所でゲノム解析を実施する。また、国内におけるゲノムサーベイランスにより変異株の動向を監視し、海外における感染動向も踏まえながら、水際対策においても不断の見直しを行っていきたい」と述べました。