尾身会長“宣言解除は医療ひっ迫の軽減が基準”

来月12日が期限となっている緊急事態宣言について、政府の分科会の尾身会長は、宣言の解除には、新型コロナウイルスに対応するための医療提供体制の確保に加え、一般医療への制限が、許容できる程度に改善する必要があるという考えを示しました。

政府の分科会の尾身会長は、参議院厚生労働委員会の閉会中審査で、来月12日が期限となっている緊急事態宣言について「いちばん大事なことは、12日に何が何でも解除するとか、延長するとか、最初に結論があるのではなく、大事なことは医療のひっ迫だ」と指摘しました。

そのうえで「コロナ患者に必要な医療が提供されているかや、一般医療への制限が、どの程度ならば一般市民が許容できるかという、2つの側面から考える必要がある。数字だけでなく、現場の医療関係者が『改善の方向に向かっている』と実感できることが最も重要で、医療のひっ迫が、どれほど軽減されるかを基準に考えるべきだ」と述べました。

また、尾身会長は「もう少し臨時の医療施設などを作らないと今の状況には対応できない。どのくらい必要かは、これからの感染の動向にもよるが、既存の法律でできるので、国や自治体の長の決断だ」と対応を促しました。

一方、田村厚生労働大臣は「臨時の医療施設がある程度できてこないと、病床の使用率が下がらないので、解除にも影響が出てくる。医療資源には限度があり、一般の医療を止めることにより、失われる命もあるので、より効率的な対応を考える意味で、各自治体と話をしている最中だ」と述べました。