“宣言”8道県追加 “重点措置”4県適用 西村大臣が国会で報告

新型コロナウイルス対策で、西村経済再生担当大臣は、衆参両院の議院運営委員会で、緊急事態宣言の対象地域に、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県を追加し、期間を27日から9月12日までとすることを報告しました。

この中で、西村経済再生担当大臣は「感染力の強い『デルタ株』のまん延により、全国的にほぼすべての地域で、これまで経験したことのない感染拡大が継続している。専門家と、極めて深刻な状況にあるとの強い危機感を共有しながら、対応にあたっている」と述べました。

そして、東京や大阪など13都府県に出されている緊急事態宣言の対象地域に、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県を追加するほか、まん延防止等重点措置を、高知、佐賀、長崎、宮崎の4県に新たに適用すると説明しました。

また、期間はいずれも、27日から、これまで対象となっている地域と同じく9月12日までとすることも報告しました。

そのうえで、西村大臣は「変異株の強い感染力も鑑み、最新の知見も踏まえて、対策を進化させていく。医療提供体制の確保、感染防止策の徹底、ワクチン接種の推進の3つの柱からなる対策に総力を挙げて取り組んでいく」と述べました。

宣言追加前に国会で質疑

緊急事態宣言の対象地域に、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県が追加され、来月12日までを期限として、21都道府県に拡大されるのを前に、国会では西村経済再生担当大臣が事前の報告を行い、各党による質疑が行われました。

自民党の山下雄平氏は「新学期が始まったら、感染爆発するのではないかという懸念もある。状況しだいでは、始業を遅らせる選択肢もありうるのか」と質問しました。

これに対し西村経済再生担当大臣は「感染状況に基づいて、必要な範囲で臨時休校を行うことは考えられるという事務連絡を通知しているし、出席停止などを判断しやすいよう、ガイドラインの作成も検討している」と述べました。

立憲民主党の大西健介氏は「いわゆる野戦病院型施設の整備を急ぐべきと考えるが、オリンピック・パラリンピックの競技会場の転用は検討しないのか」と質問しました。

これに対し西村大臣は「競技会場は、広い会場もあるので、そういった公共施設を活用することも一案として考えられる。できることをすべてやって、国民の命を守るため、全力を挙げたい」と述べました。

公明党の竹谷とし子氏は、千葉県で新型コロナウイルスの感染が確認された妊婦の入院先が見つからず、赤ちゃんが亡くなった問題を受けて「対策の強化に必要な費用は国で全額負担し、妊婦が安全に出産できる体制を支えてもらいたい」と求めました。

西村大臣は「厚生労働省で妊産婦の受け入れ可能な医療機関を設定することなどを都道府県に求めたと聞いている。安心して出産できる体制の確保へしっかり取り組んでいきたい」と述べました。

共産党の塩川鉄也氏は東京パラリンピックでの学校連携観戦チケットによる子どもたちの観戦について「感染状況が悪化していて、学校連携観戦の中止が必要ではないか」とただしました。

これに対し西村大臣は「子どもの安全や感染拡大を防ぐことが何より重要だ。各自治体と学校設置者で適切に判断されると思うが、感染の状況やリスクを踏まえて判断してもらいたい」と述べました。

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は「特に低学年の子どもは、熱が出ているとか、なかなかわからない。発症前に見つけなければならず、抗原検査キットを早く普及させるべきだ」とただしました。

これに対し西村大臣は「抗原検査キットは、厚生労働省によると、医師の指導のもとでということだ。小学校や中学校など、保健室の先生でも対応できるように、取り組みを進めようとしている」と述べました。

国民民主党の田村麻美氏は、業界ごとに定めた感染対策のガイドラインの改訂について「感染経路が不明な中で、業界団体に『改訂しなさい』と言うだけなのか。方針を示すのか、示さないのか」とただしました。

これに対し西村大臣は「クラスターの分析を行っている専門家に入ってもらい、原因をわかっている範囲で説明してもらいながら改訂を行っていくということだ」と述べました。