“宣言”8道県追加 感染状況は?政府方針 今回は何が変わる?

新型コロナウイルス対策で、政府は、緊急事態宣言の対象地域に、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県を追加するほか、まん延防止等重点措置を、高知、佐賀、長崎、宮崎の4県に新たに適用することを決めました。

期間は、いずれも27日から、これまで対象となっている地域と同じく、来月12日までで、これにより、宣言の対象地域は21都道府県に、重点措置の適用地域は12県になります。

直近の感染状況とともに今回変更された政府の基本的対処方針の内容をまとめました。

歯止めかからぬ感染拡大

25日行われた厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、新規感染者数は24日までの1週間では前の週と比べて、全国では1.26倍と感染の拡大が続いています。

緊急事態宣言が出されている地域では、▽東京都で1.02倍、▽沖縄県で1.01倍と横ばいになっているほかは、▽神奈川県で1.16倍、▽埼玉県で1.06倍、▽千葉県で1.22倍、▽茨城県で1.19倍、▽栃木県で1.40倍、▽群馬県で1.47倍、▽静岡県で1.60倍、▽大阪府で1.44倍、▽京都府で1.27倍、▽兵庫県で1.53倍、▽福岡県で1.33倍と各地で感染者数が過去最多となる中でも拡大傾向に歯止めがかかっていません。

また、対象地域に追加される▽北海道で1.26倍、▽宮城県で1.34倍、▽愛知県で1.94倍、▽岐阜県で2.01倍、▽三重県で2.46倍、▽滋賀県で1.34倍、▽岡山県で1.39倍、▽広島県で1.99倍などと各地で感染が急増しています。

人口10万人当たりの感染状況 100人超は17都府県

現在の感染状況を人口10万人当たりの直近1週間の感染者数で見ると、▽沖縄県が314.25人と300人を超える過去にない規模の感染拡大になっているほか、▽東京都が233.16人、▽神奈川県が184.77人、▽大阪府が181.95人、
など、17の都府県で100人を超えていて、▽全国では127.65人となっています。

宣言対象地域に追加の8道県では

対象に追加される地域では、▽三重県で137.23人、▽愛知県で120.74人、▽岐阜県で108.30人、▽滋賀県で101.70人、▽岡山県で87.78人、▽広島県で83.24人、▽北海道で69.47人、▽宮城県で68.47人となっています。

感染状況が最も深刻な「ステージ4」の目安の25人を超えているのは、これまでで最も多い43の都道府県となっています。

また、国立感染症研究所の推定で、感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」は、首都圏だけでなく、全国各地でほぼすべてを占めるに至り、従来のウイルスやほかの変異ウイルスから置き換わったと推定されています。

政府の基本的対処方針 学校現場での感染対策を強化

政府は、新型コロナウイルス対策の基本的対処方針を変更し、夏休み明けの学校現場での子どもの感染が懸念されることを踏まえ、幼稚園や小中学校などに、来月上旬から最大およそ80万回分の抗原検査キットの配布を盛り込みました。
今回、変更された基本的対処方針では、新型コロナウイルスの感染が子どもにも広がっていることを受けて、夏休み明けの学校現場での感染対策などを新たに盛り込みました。

具体的には、発熱などの症状がある場合には、自宅での休養や、医療機関の受診を原則とし、すぐに医療機関を受診できない場合や、速やかな帰宅が困難な事情がある場合には、抗原検査キットを活用し、迅速な検査を実施するとしています。

幼稚園や小中学校などに抗原検査キット配布

そして、幼稚園や小中学校などに、来月上旬から、最大およそ80万回分の抗原検査キットを配布するとしていて、主な対象を、教職員や小学校4年生以上の児童・生徒としています。

また、教職員のワクチン接種が進むよう地域の教育委員会や学校法人が、接種会場を置く大学に協力を依頼するほか、自治体に対しても、希望する教職員のワクチン接種が進むよう取り組みへの配慮を依頼するとしています。

妊婦など必要な場合に確実に入院できる体制整備

一方、医療提供体制をめぐっては、増加する自宅療養者などへの対策として入院待機ステーションや酸素ステーションの整備、酸素濃縮装置の確保を進めるとしているほか、妊婦など特別な配慮が必要な患者への対応として、必要な場合には確実に入院につなげられる体制を整備するとしています。

また、「抗体カクテル療法」について、自宅療養者への対応を進めるため、投与後の観察体制の確保など、一定の要件を満たした医療機関による外来での投与を行うなどとしています。