菅首相 “「抗体カクテル療法」治療薬投与施設 全国に整備を”

新型コロナウイルス対策で、菅総理大臣は「抗体カクテル療法」として、新たに承認された治療薬の投与を行っている東京都内の宿泊療養施設を視察し、集中的に投与を行える施設を全国の拠点に整備することで、患者の重症化を防ぎたいという考えを強調しました。

菅総理大臣は16日午後、東京都の小池知事らとともに、新型コロナウイルスの患者のために都が、宿泊療養施設として確保しているホテルを視察しました。

この施設では、先週13日から、いわゆる「抗体カクテル療法」として、新たに承認された治療薬の投与を行っています。

視察のあと、菅総理大臣は、記者団に対し「抗体カクテル療法」について「『デルタ株』による急激な感染拡大の中にあって、軽症や中等症の方が重症化するのを70%防ぐと言われている。これからも極めて対策として大事だ」と述べました。

そして「全国のおよそ1000の病院で、まずは4000人に投与したところ、多くの方が回復し、かなり効果があるという報告も受けている。一刻も早く、この薬を多くの皆様に届けたい」と述べました。

そのうえで、政府として、治療薬の量は十分に確保しているとして、医療機関だけでなく、集中的に投与を行える施設を全国の拠点に整備することで、患者の重症化を防ぎたいという考えを強調しました。
また、菅総理大臣は、都内の感染対策について「東京の感染を抑えることは全国の感染拡大を抑えることにつながる。常日頃、都としっかり連携しながら対策を講じており、デパートの入場制限やテレワークなどに取り組んでいる」と述べました。

さらに、ワクチン接種について「これだけ感染が広がる中にあっても、間違いなくワクチンは大きな効果がある」と指摘したうえで、今月中に新たに350の会場で職域接種が開始されると明らかにしました。

小池都知事「抗体カクテルは大きな武器」

東京都の小池知事は、「抗体カクテル療法」と呼ばれる治療法を先週から行っている宿泊療養施設を視察したあと、記者団に対して、「宿泊療養施設でも『抗体カクテル』が活用でき、重症化を防ぐことができれば大きな武器になり得る。まさに災害級のレベルにも達してしまっている、デルタ株というコロナ対策に当てていく」と述べました。

また、国と連携した医療提供体制の確保について、「病院や宿泊療養施設、自宅でのサポートについていろいろな意味で協力、連携していくことが肝要だ。何が必要なのか、もっと強化するところはどこなのか、国と連携を図ることが都民の命、健康を守ることに直接つながってくる」と述べました。

抗体カクテル療法 期待と課題

視察に同行した東京都医師会の猪口正孝副会長によりますと、「抗体カクテル療法」を都の宿泊療養施設になっている「品川プリンスホテル」の「イーストタワー」で先週の金曜日、13日から始め、これまでに4人に薬を投与したということです。

「抗体カクテル療法」は、軽症の人の重症化を防ぐことが目的ですが、都内の入院患者の多くはほとんどが中等症か重症のため、軽症が多い宿泊療養施設での投与が有効だとしています。

一方、発症から8日以上たつと有効性があまり認められないことから7日以内の投与が必要ですが、患者の急増で対象者を見つけることが難しくなってきているということです。

投与できる患者を見つけ出し、すぐに対応できる体制づくりが課題です。