GDP 高い伸び率の欧米や中国 日本がコロナ前に戻るのは?

新型コロナウイルスは各国の経済に影響を及ぼしていますが、ことし4月から6月までのGDPを発表している欧米や中国では、ワクチン接種が進んだことなどを背景に高い伸び率となっています。

アメリカ 個人消費が2桁の伸び

このうち、アメリカの4月から6月までのGDPは、物価の影響を除いた実質の伸び率が年率換算で6.5%となり、GDPの規模は感染拡大前のおととし10月から12月を上回りました。
ワクチン接種の広がりと経済対策の効果によって、GDPの7割程度を占める個人消費が2桁の伸びを記録しました。

ユーロ圏 個人消費や企業生産が回復基調

ドイツやフランスなど、ユーロ圏19か国の4月から6月までのGDPも、年率換算でプラス8.3%となりました。

これより前、ユーロ圏のGDPは2期連続のマイナスでしたが、域内の感染対策とワクチン接種が進んだことで、個人消費や企業の生産が回復傾向にあります。

EUは先月、ユーロ圏のGDPがことしの終わりまでに感染拡大前の水準に戻るとする経済見通しを発表しました。
また、イギリスの4月から6月までのGDPは、年率換算でプラス20.7%の高い伸びとなりました。

中国 改善基調を維持

さらに、中国経済も改善基調を維持しています。

内閣府によりますと、中国の去年1月から3月までのGDPの伸び率は、年率換算でマイナス30.5%と、大幅に落ち込みました。

しかし、その次の3か月間に当たる去年4月から6月までのGDPは、一転して、年率換算で46.4%のプラスになりました。

中国経済は、コロナ禍からいち早く抜け出し、ことし6月までの3か月間も、GDPの伸び率が年率換算でプラス5.3%となっています。

日本 政府はことし中の回復見込むも…

日本のGDP=国内総生産がコロナ前の水準に戻る時期について、政府は、「ことし中」を見込んでいます。今後、ワクチン接種が一段と広がることで、外食や旅行といったサービス消費などの回復ペースが加速すると見ているためです。

内閣府は先月発表した試算で、今年度のGDPの伸び率はプラス3.7%程度になるとしました。

個人消費が弱いことなどを受けて、ことし1月の見通しから0.3ポイント下方修正しましたが、比較可能な1995年度以降で最も高い成長率です。

ただ、このところは、感染力の強い「デルタ株」の影響もあってこれまでにないスピードで感染拡大が進んでいて、政府の想定どおりに日本経済が回復するかどうか、見通しにくい状況となっています。