“自宅療養を基本” 政府の方針をめぐり国会で議論

新型コロナウイルスの医療提供体制をめぐり、衆議院厚生労働委員会の閉会中審査が行われ、重症患者などを除き、自宅療養を基本とするとした政府の方針をめぐって議論が交わされました。

▽自民党の木村弥生氏は「在宅療養の不安を解消するのが鍵になる。訪問看護師による見守り体制が不可欠だ」と質問しました。

田村厚生労働大臣は「東京で在宅やホテルでの療養が増えており、在宅で十分な対応ができないと国民の健康と命を守っていきにくい。緊急の場合の訪問看護の診療報酬を加算し、訪問看護の重要性を認識しながら対応していきたい」と述べました。

▽立憲民主党の長妻昭氏は「入院すべき人ができない状況であり、人災だ。全国の医療関係者に結集してもらい、宿泊療養を大幅に拡充する方向に、方針を整えるべきだ」と質問しました。

田村大臣は「人流がある程度減ってるのに、感染は急激に増えている。デルタ株は大変な脅威であり、在宅での対応も考えないといけない。海外で感染が拡大しているところは、基本は在宅であり、平時ではないことを理解してほしい」と述べました。

▽公明党の高木美智代氏は「酸素吸入が必要な中等症の患者を自宅で診ることはありえない。撤回も含めて検討し直してほしい」と質問しました。

田村大臣は「中等症の患者にもいろんな人がいるが、呼吸管理されている人を入院させず、自宅に戻すことはあり得ない。医療現場も十分に認識しており、きのう医療関係者と菅総理大臣との会談でも、はっきりと申し上げた」と述べました。

また「フェーズが変わってきており、関西での4月、5月の急激な感染増加では、本来は病院に入らなければいけない人が『ベッドが無い』ということで対応できないという問題があった。一定程度、ベッドに余裕がないと、そういう人たちを急遽、搬送できないので、重症化リスクの比較的、低い人に関しては、在宅での対応を先手先手で打ち出させていただいた」と述べました。

▽日本維新の会の青山雅幸氏は「自宅療養で具合が悪くなった時に医療にアクセスできるようにすべきで、CTを撮るための通院も検討してほしい」と質問しました。

田村大臣は「病院に行けば、ほかの患者にうつるおそれがあるので、今の状況では勧められないが、往診については診療報酬を加算するなどして積極的に進められるように対応している」と述べました。

▽共産党の宮本徹氏は「できるだけ24時間、必要な診療や看護ができる体制をつくることが基本であり、自宅療養を基本とする方針を撤回すべきではないか」と質問しました。

田村大臣は「首都圏の自治体には、病床の確保をお願いし、出来るだけの対応をしてもらっているが、今回の基準でも病床が埋まっていく感染状況であり、このままでは、よりリスクの重い人を救えない。フェーズが変わり、『今はそういう状況ではない』と世界中が認識を持つ中でのことなので、なんとか理解してもらいたい」と述べました。

▽国民民主党の会派に所属する高井崇志氏は「ワクチン接種で重症化は減らせても、感染は増える。抗原検査を徹底的に行い、例えば、飲食店に入る前の抗原検査などを検討してほしい」と質問しました。

田村大臣は「ワクチン接種が進めば、少なくとも重症化リスクはかなり下げられるので、接種をとにかく進めたい。50代に接種が進めば、いまの状況は変わってくる。それまでの間は我慢し、感染の拡大を止めてもらいたい。その先には、様々なもので日常生活を取り戻していく努力をしたい」と述べました。