オリンピック 体操 橋本大輝が金メダル 男子個人総合

東京オリンピック、体操の男子個人総合で19歳の橋本大輝選手が金メダルを獲得しました。この種目で、日本は3大会連続の金メダルです。

体操の男子個人総合の決勝は、予選を通過した24人の選手が出場して、6種目の合計得点で争われました。
予選1位で19歳の橋本選手は、最初の種目のゆかで、G難度の大技、「リ・ジョンソン」を決め、予選より高い14.833の得点をマークしました。

橋本選手は、2種目めのあん馬と5種目めの平行棒では、15点台の得点をマークしました。
橋本選手は1種目を残して、1位の中国の肖若騰選手と0.467差の3位で、最後の種目、鉄棒に臨みました。
鉄棒では、先に演技した肖選手が14.066にとどまったのに対し、橋本選手はG難度の「カッシーナ」など手放し技を次々と成功させたほか、最後の着地も決めて14.933の得点をマークして肖選手などを逆転しました。

橋本選手は6種目の合計で88.465の得点で初めてのオリンピックで金メダルを獲得しました。
この種目では、内村航平選手が前回まで2連覇していて、日本は3大会連続の金メダルです。
また、日本体操協会によりますと、オリンピックの男子個人総合で橋本選手は最年少での金メダルとなりました。

同じ個人総合に出場した18歳の北園丈琉選手は5位でした。

橋本大輝「もっと高みを目指す」

橋本選手は「本当に人生でうれしい瞬間は言葉で言い表せないなと思った。きょうは男子団体のメンバーが応援してくれて、しっかり金メダルをとれて、感謝の演技ができたと思う」と喜びをかみしめました。

決勝の演技については「つり輪で技が認定されなかったので、少し焦ったが、試合は何が起きるか分からない。しっかり集中してやっていこうと切り替えた。最後の鉄棒では自分がミスなく演技すれば間違いなく金メダルはあると思っていたが、今回はメダルの色は関係なく、記憶に残るいい演技をしようと思っていた。最後の着地が動いてしまったので自分の中で満足はしていないが、緊張の大場面で演技を通せたことは大きな経験になったと思う」と、冷静に振り返りました。

また、表彰式で笑顔を見せたことについて「ここで涙を流してしまうのはいまの状態に満足していることだと思う。チャンピオンは涙を流さずに、常に前だけを見ていると思う。笑ってこの試合を楽しめたのでよかった」と話しました。そのうえで、「5年前、自分はオリンピックに出場できるとも思っていなかった。夢が現実になって、金メダルを獲得できた。これからはディフェンディングチャンピオンとしてやっていかなければいけないので、変わらない努力で毎日やっていきたい。3か月後には世界選手権があるので、いまの状態に満足せずにもっと高みを目指していきたい」と、今後の決意を話しました。

体操ニッポンの新たなエース

東京オリンピックの体操男子の個人総合で19歳の橋本選手が高いレベルの演技を見せて金メダルを獲得し、体操ニッポンの新たなエースとしての一歩を踏み出しました。

橋本選手は、千葉県出身の大学2年生。6歳の時に兄の影響で体操を始め、たぐいまれな空中感覚と豊富な練習量であん馬や跳馬、鉄棒を得意としていて、体操の強豪、市立船橋高校で競技に打ち込みました。

前回のリオデジャネイロ大会はテレビで見て「夢のまた夢の舞台」と、自分とは無縁の世界と感じていましたが、高校2年生の頃に日本体操協会の水鳥寿思男子強化本部長に出会い、橋本選手の体操を高く評価していた水鳥本部長から「日本代表を目指しなさい」と声をかけてもらったことから、みずからの目標を世界選手権やオリンピックに定めました。

それ以来、高い目的意識で練習に打ち込み、長い手足を生かした美しい体操に加え、難しい技にも挑戦して2019年の世界選手権の代表に選ばれました。そして、東京オリンピックが1年延期となった時間を前向きに捉えて練習に打ち込み、ゆかではG難度の「リ・ジョンソン」、跳馬では世界最高難度の「ヨネクラ」と、世界でも屈指の大技を次々と習得して、ことし4月の全日本選手権では予選7位からの逆転で初めての優勝を果たしました。

そして、5月のNHK杯でも優勝し、初めてのオリンピック出場を決めていました。橋本選手は代表に決まったあと、「夢が目標になり、そして現実になった。東京オリンピックでは、団体でも個人でも金メダルをとりたい。体操と言えば橋本大輝と言われるくらい、すごい演技を見せたい」と東京大会への意気込みを口にしました。

そして、今月24日に行われた男子予選では、平行棒と鉄棒で15点台の高得点をマークするなど持ち味の美しい演技をそろえて世界選手権金メダリストのロシアオリンピック委員会のニキータ・ナゴルニー選手らをおさえて、個人総合のトップで予選を通過していました。

北園丈琉「いまできる完璧な演技できて達成感」

体操の男子個人総合で5位となったオリンピック初出場、18歳の北園選手は「目標は優勝だったので、少し悔しさはあるが、いまできる完璧な演技ができて達成感がある」と決勝の演技を振り返りました。

そしてけがを乗り越えて出場したことについて、「僕1人では絶対にこの舞台に立てなかった。けがをしたときもいろいろな方の支えがあって戻ってこれたので感謝したい」と話していました。

また、金メダルを獲得した橋本大輝選手については「すごかったし、演技から金メダルをとるという気持ちが伝わってきた。これからは僕たちが体操男子を引っ張っていかなければいけない。僕も大輝くんに食らいついて、頑張りたい」と話しました。

北園 ケガを乗り越えて臨んだ五輪

18歳の北園選手。4月にケガを負う苦難を乗り越えて初めてのオリンピックで5位と健闘しました。

北園選手は、東京オリンピックの代表選考を兼ねた4月の全日本選手権で鉄棒から落下して、両ひじのじん帯を損傷。さらに右ひじは剥離骨折を負いました。

北園選手はケガの直後、全く動かない右ひじの状態に長年目標としてきた東京オリンピックへの出場を「考えたくない」と思うほどふさぎ込みました。

そんな北園選手にもう一度前を向かせたのは周囲の支えでした。北園選手にとって憧れの存在でもある内村航平選手からは「諦めなければ絶対に帰ってこれる」と、電話で鼓舞されました。

また中学1年生から指導を受けている大阪・清風高校の梅本英貴監督には治療のため訪れた山口県で釣りに連れて行ってもらい、体操から離れて心を整理する時間をもらいました。

そうした周囲の支えを受けて立ち直り念願の代表入りをつかみ、強く感じるようになったのが周囲への「感謝」でした。

北園選手は大会前の取材で「ケガをして初めて自分がやっていることがこんなにも周りに応援してもらえているんだと気がついた。自分1人では諦めていたかもしれない」と話しました。そして、「支えてくれた人への恩返しを形にするような演技をしたい」と東京オリンピックに臨んでいました。

水鳥監督「これから日本は世界最強のチームになっていく」

体操男子の水鳥寿思監督は、金メダルの橋本選手について「あれだけハイレベルな試合で最終演技者で待たされて、その中であれだけの演技ができたというのは、本当にすごいと思った。これから日本を背負って立つ、そして世界の中で最強のオールラウンダーになった瞬間だと感じた」と興奮気味に話しました。

5位と健闘した北園選手にも言及し「きょうの大会で本当に悔しい思いをしたと思う。橋本選手の金メダルに北園選手が続いて、これから日本は本当に層が厚い、団体でも世界最強のチームになっていくんじゃないかと、わくわくしている」と今後に期待を膨らませていました。

【決勝詳細】

1種目め 橋本は1位 北園は3位

午後7時40分ごろ、橋本大輝選手は最初の種目のゆかに臨み、予選より高い14.833の得点をマークしました。北園丈琉選手は、あん馬で安定した演技を見せて、予選より高い14.500をマークしました。

1種目めを終えた時点で、橋本選手は1位、北園選手は3位となりました。

2種目め 橋本は1位 北園は8位

午後8時10分ごろ、橋本大輝選手は2種目めのあん馬に臨み、予選より高い15.166の高得点をマークしました。北園丈琉選手は、つり輪で安定した演技を見せて、予選より高い13.500をマークしました。

2種目めを終えた時点で、橋本選手は1位、北園選手は8位となりました。

3種目め 橋本は2位 北園は6位

午後8時40分ごろ、橋本大輝選手は3種目めのつり輪で13.533の得点でした。北園丈琉選手は、跳馬で14.666をマークしました。

3種目めを終えた時点で、橋本選手は2位、北園選手は6位となりました。

4種目め 橋本は4位 北園は5位

午後9時10分ごろ、橋本大輝選手は4種目めの跳馬で着地にミスが出て14.700の得点でした。北園丈琉選手は、平行棒で15.066をマークしました。

4種目めを終えた時点で、橋本選手は4位、北園選手は5位となりました。

5種目め 橋本は3位 北園は5位

午後9時40分ごろ、橋本大輝選手は5種目めの平行棒で15.300の得点をマークしました。北園丈琉選手は、鉄棒で14.400をマークしました。

5種目めを終えた時点で、橋本選手は1位と0.467差の3位、北園選手は5位となりました。