「ワクチンパスポート」申請受付開始 住民票ある市区町村で

海外に渡航する人のために新型コロナウイルスのワクチン接種を終えたことを証明する、いわゆる「ワクチンパスポート」の申請の受け付けが始まりました。

イタリアやオーストリアなど海外の一部の国では、入国時にワクチンの接種証明書を提示すると、検査や隔離措置が免除されることなどがあり、政府は、26日から住民票がある市区町村で申請の受け付けを始めました。

このうち東京 品川区では、区役所の1階に臨時の窓口が設置され、午前8時半に受け付けが始まる前から10人余りが列を作りました。

そして、受け付けが始まると、申請に訪れた人たちが手続きに必要な旅券のパスポートや書類を提出していました。

イタリア人の40代の夫婦は「週末に2年ぶりに帰国する予定なので、接種証明書を取りに来ました」と話していました。

また、60代の日本人の男性は「夫婦で2年ぶりにイタリアかスペインに旅行に行こうと話していて、早いに越したことはないと思って来ました」と話していました。

ベトナムで教師をしているという70代の日本人の男性は「現地で生徒が待っているので、いつでも行けるように準備しようと思いました」と話していました。

品川区「申請は海外渡航者だけで」

品川区では窓口のほか、郵送でも申請を受け付けていて、原則、その日のうちに発行されるということです。

品川区ワクチン接種証明担当の澤龍主査は「想定していたより多くの方にお越しいただいている。窓口が密になってしまうので、申請するのは海外に渡航する方だけでお願いしたい」と話していました。

接種証明書 当面は書面で交付 手数料は無料

接種証明書は、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたことを公的に証明する文書で、海外に渡航する人のために発行されます。

氏名や国籍などが日本語と英語で記載され、接種を受けたワクチンの種類や日付なども明記されます。

当面、書面で交付され、手数料は無料です。

申請には原則として申請書のほか、旅券や接種券、それに、接種済証か接種記録書が必要です。

外務省によりますと、接種証明書を提示することで入国時の検査や隔離措置の免除などを受けられる国は、今月21日の時点で、イタリアとオーストリア、トルコ、ブルガリア、それにポーランドの5か国です。

一方、WHO=世界保健機関は、接種証明書について、世界的にワクチンが不足して接種を受けられない人がいることなどから、出入国に不可欠な条件にしないよう求めています。

また、海外では、スポーツジムやイベント会場などで提示を求める動きもありますが、厚生労働省は「ワクチン接種はあくまで希望する人が対象で、そもそもアレルギーなどを理由に接種を受けられない人もいる。現時点で経済活動に利用することは検討していない」としています。

加藤官房長官「移動再開へ 重要なツール」

加藤官房長官は、午前の記者会見で「諸外国が講じている防疫措置などの一部緩和に活用し得るものとして、今後の国際的な人の移動の再開につながる重要なツールと考えている」と述べました。

一方、日本に入国する際の活用について「現時点で具体的に申し上げる状況には至っていない。国内外の議論や各国、地域の対応状況を注視し、知見の収集に努めながら、鋭意検討を進めていきたい」と述べました。