東京オリンピック 柔道 阿部詩 金メダル 女子52キロ級

東京オリンピック柔道女子52キロ級で、阿部詩選手が金メダルを獲得しました。
この階級での日本選手の金メダル獲得は初めてです。

オリンピック初出場の阿部選手は男子66キロ級、兄の阿部一二三選手ときょうだいそろっての金メダル獲得を目指しました。

阿部選手は初戦の2回戦で釣腰で技ありを奪いそのまま抑えこんで「合わせ技一本」で勝ったあと続く準々決勝では技ありで優勢勝ちし、準決勝に進みました。

準決勝では前回、リオデジャネイロ大会の銀メダリスト、イタリアのオデッテ・ジュフリダ選手と対戦し、延長3分すぎに阿部選手が内股で技ありを奪って優勢勝ちしました。

決勝はここまで圧倒的な強さで決勝まで勝ち上がってきた、フランスのアマンディーヌ・ブシャール選手と対戦しました。

試合は序盤から互いに積極的に技を仕掛ける展開となりましたが4分間で勝負は決まらず、この試合も延長戦にもつれ込みました。

延長戦に入っても阿部選手は攻撃の手をゆるめず、延長4分半ごろに抑え込みで一本勝ちし、初出場で金メダルを獲得しました。この階級での日本選手の金メダル獲得は初めてです。

阿部選手は決勝で勝利をおさめたあと兄の一二三選手の決勝の試合を観戦し、きょうだいによる同じ大会での金メダル獲得を成し遂げると、両手をあげて喜びを表していました。

表彰式では、金メダルを自分で首にかけて銀メダリストや銅メダリストと一緒に笑顔で記念撮影をしていました。

阿部選手は、表彰式のあとのインタビューで「兄もしっかり優勝してくれたので、家族一丸となって達成した金メダルだと思います」と家族への感謝の気持ちを話しました。

そして「本当に柔道をやってきてよかったという気持ちがあふれ出てきました。さらに強く進化していけるように頑張っていきたい」と決意を新たにしていました。

銀メダルは、フランスのアマンディーヌ・ブシャール選手。銅メダルは、イタリアのオデッテ・ジュフリダ選手とイギリスのチェルシー・ジャイルズ選手でした。

阿部詩「努力が報われた」

金メダルを獲得した阿部詩選手は「この大会だけを目指して努力してきたので、報われてよかったです」と喜びを語りました。
またこの時はあとに兄の一二三選手が決勝を控えていたことから「兄の試合が今からのなので気は抜けませんがしっかり応援したいです」とエールを送っていました。

金メダルは目標の「怪物」への第一歩

初出場の21歳、大学3年生の阿部詩選手はオリンピックのこの階級で日本勢初の金メダルを手にし、みずから究極の目標と話す「怪物」に向けての第一歩を踏み出しました。

阿部詩選手の柔道人生は、兄、阿部一二三選手の背中を追いかけるようにして5歳から始まりました。

「兄とは逆で、初めての試合でもメダルをもらったり、男の子に勝ったりした。でも優勝はなくて自分では悩んだ」と振り返っています。

周囲が小学生のころから一目置くセンスと、兄に追いつき、追い越せという負けず嫌いな性格で実力を伸ばしていった詩選手。

東京オリンピックの招致が決まった2013年、当時、まだ中学1年生だった詩選手は「2020年は20歳。東京オリンピックに出て優勝したい」と、すでに明確な目標になっていたと言います。

2017年、一二三選手が20歳で世界選手権を制すと、2018年には詩選手が18歳で初優勝。

2連覇を果たした一二三選手と共に世界選手権で初めて”きょうだい”同時に優勝を成し遂げました。

おととしの世界選手権では、リオデジャネイロオリンピック金メダリスト、コソボのマリンダ・ケルメンディ選手など組み手が力強い選手への対策を徹底し、準決勝でそのケルメンディ選手を破って大会連覇を果たしました。

兄と同じく両袖を持って相手を豪華に投げる袖釣り込み腰や内股などの投げ技に加えて寝技も継続的に強化。さらにオリンピックが延期となったこの1年は、足技で崩すパターンも強化してきました。

根底にあるのは「怪物になりたい」という目標です。

「絶対的な強さを手に入れることがそう呼ばれる第一歩」と話し、世界チャンピオンになってからも常に究極の強さを追い求めてきました。

迎えた初めての大舞台では、相手から徹底して研究される中でも「自分の柔道を100%出し切りたい」ということばどおりに、海外のライバルを次々と退けました。

女子がオリンピックの正式種目となってから52キロ級では、日本選手として初めての金メダルを獲得。この先も日本の女子を引っ張る「怪物」として、確かな一歩を踏み出しました。