全国の新規感染者 前週比1.53倍 東京のデルタ株 約60%と推定

東京オリンピックの開幕や4連休を前に、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、感染が急拡大する東京都など首都圏や再拡大に転じた沖縄県など、各地の感染や医療体制の状況について分析が行われました。

会合で示された資料によりますと、新規感染者数は20日までの1週間では前の週と比べて、全国では1.53倍と大きく増加していて、緊急事態宣言が出されている
▽東京都では1.49倍、
▽先週まで減少が続いていた沖縄県でも1.67倍と再拡大に転じました。

また、まん延防止等重点措置が適用されている地域でも、
▽大阪府で1.89倍、
▽埼玉県で1.87倍、
▽千葉県で1.39倍、
▽神奈川県で1.38倍と急増傾向となっています。

このほか、
▽北海道で1.54倍、
▽兵庫県で1.94倍、
▽京都府で1.74倍、
▽福岡県で1.53倍などと各地で感染が急拡大しています。

現在の感染状況を、人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数で見ると、
▽東京都が59.33人、
▽沖縄県が38.47人、
▽神奈川県が33.20人、
▽埼玉県が26.93人、
▽千葉県が26.67人と感染状況が最も深刻な「ステージ4」の目安の25人を超えていて、
▽大阪府が23.91人、
▽鳥取県が18.35人、
▽石川県が17.49人、
それに全国でも18.25人と、「ステージ3」の目安の15人を超えています。

また感染力の強いインドで確認された変異ウイルス「デルタ株」は、東京都ではすでに感染全体のおよそ60%を占めるに至ったと推定されていて、会合では急速に拡大する「デルタ株」の広がりを前提とした対策や、連休やオリンピック開催などで人の移動が増えるなどして、感染が拡大するリスクをどう抑えるかなどについて議論が行われました。

田村厚労相「感染者倍々で増えると病床ひっ迫も」

田村厚生労働大臣は、専門家会合の冒頭「新規感染者の数が伸びていて、その多くが首都圏だ。中でも東京は夜間の滞留人口が緊急事態措置に入る前から若干下がっていて、そろそろ効果が出てくる時にもかかわらず、感染が伸びている」と指摘しました。

そのうえで「東京中心に感染の拡大がみられ、感染者が倍々で増えていくと、どれだけ病床を確保し、ワクチンを打っていても、病床のひっ迫が予想される。リスクの高い行動をどう防いでいくか考えていかないといけない」と述べました。

日本医師会 中川会長「すでに『第5波』進行 『第3波』超え懸念」

日本医師会の中川会長は、記者会見で「すでに『第5波』が進行していると考えており、しかも感染者数が最も多かった『第3波』を超える懸念がある。感染力が強い変異株による急拡大の危険性がある今、改めて、基本的な感染対策の徹底をお願いしたい」と述べました。

脇田座長「まさに今 感染者数抑えることが必要」

厚生労働省の専門家会合のあと会見をした脇田隆字座長は「東京に緊急事態宣言が出され、首都圏の3県に重点措置が出ているにもかかわらず、感染者数の増加に歯止めがかかっていない。夜間の滞留人口の減少も非常に緩やかで、この程度では感染者数は減らないのではないかという議論があった。ワクチン接種が進むイギリスやイスラエルでは感染者が増えても重症者などがそれほど増えていないのは確かだが、今の日本は高齢者以外ではまだそこまで接種が進んでいない。40代50代を中心に入院者数が増え、入院調整も遅れてきている。治療が遅れると症状が悪化することもあるため、日本では、まさに今、感染者数を抑えることが必要だということを話し合った」と話していました。

今後について脇田座長は「これから4連休、夏休み、お盆を迎えるが、東京や首都圏では感染が拡大しているので、県境を越える移動は最小限にしてほしい。また、感染を抑える肝は人と人との接触を減らすことなのでふだん会わない人と会うのは避け、オリンピックが始まってもふだんいっしょにいる家族や仲間と自宅で観戦することが重要だ」と話していました。