「4連休も危機感を」新型コロナ 東京など感染拡大止まらず

東京都内で新型コロナウイルスの感染者が急速に増える中で、明日からは4連休が始まり、東京オリンピックも開幕します。
感染拡大の状況と今後の見通し、連休の過ごし方について専門家の意見をまとめました。

連休を前に 都内では民間PCR検査の利用者急増

東京・千代田区にある民間のPCR検査の施設では今週に入り利用者が急増し、21日も午前中から検査を予約をした人が次々と訪れています。

この施設は発熱などの症状がない人を対象に24時間受け付けていて、訪れた人は個別のブースで専用の容器にだ液を出し提出していました。

検査は同じ施設内で行われ結果は24時間以内にメールで通知されるということです。

施設を運営する会社によりますと2週間前の7月上旬は1日の利用者は70人ほどでしたが、今週に入ってから急増し、20日はおよそ200人に上り、さらに21日は午後5時半の時点で263人となっています。

夏休みに実家などに帰省をするか悩んでいる人や、職場で感染者が確認され不安で訪れる人が多いということです。

35歳の男性会社員は「営業の取引先に迷惑がかからないように、会社のルールでPCR検査を受けています。最近人出が増えていて怖いと思います」と話しています。

感染急拡大の東京 新たに1832人感染確認

都内では感染の急拡大が続いています。21日は新たに1832人の感染が確認されました。
1800人を超えるのはことし1月16日以来で、1週間前の水曜日より683人増えました。

第3波をはるかに超える危機的状況も

この日の東京都のモニタリング会議では、専門家が第3波を上回るペースで感染が急拡大していると指摘しました。

新規陽性者の7日間平均は、20日時点でおよそ1170人でこの1週間で1.5倍になり、今の増加比が継続した場合、今月27日にはおよそ1743人、8月3日にはおよそ2598人となり、第3波でのピークでこれまでで最も多い1月のおよそ1816人を大きく上回るとしています。
専門家は「変異ウイルスへの置き換わりが進み、増加比がさらに上昇すると感染拡大が急速に進み、2週間を待たずに第3波をはるかに超える危機的な感染状況になる」と述べ、強い懸念を示しました。

年代別感染者数割合 50代以下が90%以上

モニタリング会議で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。
今月19日までの1週間に感染が確認された人の年代別の割合は、20代が31.9%で、3週連続で30%を超え、最も多くなりました。

次いで▽30代が20.8%、▽40代が17.0%、▽50代が11.7%、▽10代が7.6%、▽10歳未満が4.5%、▽60代が3.8%、▽70代が1.5%、▽80代が1.0%、▽90代以上が0.2%でした。

6月以降、50代以下で全体のおよそ90%を占めています。

一方、65歳以上の高齢者は、今週は286人で前の週より73人増えましたが、割合は0.4ポイント減って3.7%でした。

入院患者 ”1か月で倍増” 60代以下が増加傾向

入院患者は、20日時点で2388人と今月14日の時点より365人増加しました。

専門家は「およそ1か月で倍増した」と指摘したうえで、「今後、さらなる人流の増加や変異株の影響などで新規陽性者が増加し続ければ、医療提供体制がひっ迫の危機に直面する」と指摘しています。

入院患者を年代別にみると、60代以下が全体のおよそ86%を占めていて、専門家は「先月上旬の65%前後から上昇傾向だ」と分析しています。

年代別にみると、40代と50代がそれぞれ全体のおよそ21%、30代以下も全体のおよそ34%を占めています。

専門家は「6月以降、若年、中年層を中心とした新規陽性者数の急速な増加に伴い、入院患者も急増している。この状況が続けば若年・中年層の中等症患者が増加し、遅れて重症患者が増加する可能性がある」と指摘しました。

そのうえで「人との接触の機会を減らし、基本的な対策を徹底し、ワクチン接種は予防効果が期待されることを啓発する必要がある」としています。

小池知事「これまで以上に強い危機感を ステイホームに」

モニタリング会議のあと、小池知事は記者団に対し「きょうから多くの学校で夏休みを迎え、あすからは4連休で、オリンピックも始まる。例年だと旅行や帰省のシーズンだが、感染力の強い変異株に置き換わりつつあるという局面で、事態がより切迫するなかで、これまで以上に強い危機感を皆さんと共有しなければならない」と述べました。

そのうえで「『危機だ、危機だ』と聞き飽きたかもしれないが、極めて重要な状況にある。皆さんがどういう行動をとり、人の流れがどうなるのかが重要で、この夏を最後のステイホームにしていきたい」と呼びかけました。

また、21日のモニタリング会議では、4回目の緊急事態宣言に入ってから、都内の繁華街の滞留人口が減少しているという専門家の分析が示されました。

これについて小池知事は「雰囲気的には『もう協力しない』というイメージが報道されているように私は受け止めているが、実際は皆さんに協力いただいている」と述べました。

そして「デルタ株の影響などを考慮すると、少なくとも前回の緊急事態宣言時と同じように夜間滞留人口を減少させる必要がある。酒についても飲食店に協力いただき、利用客にもいろいろと自粛いただいており、そういったこともこれからの数字にあらわれてくると思う」と述べました。

厚労省の専門家会合「4連休中 県境越えは最小限に」

また、4連休を前に、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、感染が急拡大する東京都など首都圏や再拡大に転じた沖縄県など、各地の感染や医療体制の状況について分析が行われました。

専門家会合のあと、会見をした脇田隆字座長は「東京に緊急事態宣言が出され、首都圏の3県に重点措置が出ているにもかかわらず、感染者数の増加に歯止めがかかっていない。夜間の滞留人口の減少も非常にゆるやかで、この程度では感染者数は減らないのではないかという議論があった」と話していました。

今後について脇田座長は「これから4連休、夏休み、お盆を迎えるが、東京や首都圏では感染が拡大しているので、県境を越える移動は最小限にしてほしい。また、感染を抑える肝は人と人との接触を減らすことなのでふだん会わない人と会うのは避け、オリンピックが始まってもふだん一緒にいる家族や仲間と自宅で観戦することが重要だ」と話していました。

日本医師会「すでに第5波が進行中」

また、感染拡大について日本医師会の中川会長は、記者会見で「すでに『第5波』が進行していると考えており、しかも感染者数が最も多かった『第3波』を超える懸念がある。感染力が強い変異株による急拡大の危険性がある今、改めて基本的な感染対策の徹底をお願いしたい」と述べました。

ワクチン供給の見通しは

一方で、新型コロナウイルスワクチンの職域接種をめぐり、河野規制改革担当大臣は記者会見で、すでに申請を終えて開始を待っているすべての企業や大学などに対し、8月中にワクチンの供給を始められるという見通しを示しました。

この中で、河野規制改革担当大臣は「申請済みの職域接種には、すべて、8月中にワクチンの供給を開始できる見込みとなった。8月2日の週に供給を始め、9日の週から接種できるようにしていきたい」と述べ、すでに申請を終えて開始を待っているすべての企業や大学などに対し、来月中にワクチンの供給を始められるという見通しを示しました。

一方で、一時休止している新規の受け付けは、依然として再開のめどは立っておらず、今後の状況をみながら検討すると説明しました。

また、河野大臣は10月上旬までに、12歳以上の人の8割が2回、接種するのに必要な量のワクチンを都道府県に供給するとして「自治体は『なるべく先まで見通しがほしい』ということだったが、8割まで見通しが立てば、相当、カバーできると思う」と述べました。