感染拡大のインドネシア 医療用酸素 無料貸し出しも不足続く

新型コロナウイルスの感染状況が急速に悪化しているインドネシアでは、医療用の酸素が不足し、市民が窮状を訴えています。

インドネシアでは、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株などの感染拡大が続き、19日は新規感染者が3万4257人、亡くなった人は過去最多となる1338人が確認されました。

病院で治療を受けられず、自宅で療養する患者が増えるなか、医療用の酸素の需要は感染拡大前の5倍に急増し、酸素を販売する店には患者の家族などが大勢、詰めかけています。

事態を改善しようと首都ジャカルタでは、市民団体が酸素ボンベを集め、必要としている人に無料で貸し出す取り組みが始まりました。

市民団体では1人の患者につき7日間、酸素ボンベを貸し出し、症状がよくなると再び酸素を補充して別の患者に回しているということです。

家族が感染したため酸素ボンベを借りた女性は「私たちのように自宅で療養している人が多い。酸素を買いたくても店に在庫がないので大変だ」と話していました。
一方、酸素ボンベの利用を希望する市民がおよそ3800人に上るのに対し市民団体が扱う酸素ボンベの数は920本にとどまり、十分な酸素が行きわたっていないのが現状です。

市民団体「GITA」の担当者のアリフ・ボビルさんは「患者にとって酸素の入手は時間との闘いだ。患者が生きられるよう少しでも役に立ちたい」と窮状を訴えていました。