自社株買い付けで非上場企業に 経営自由度 高めるねらいか

経営者らが、上場している自社の株式をすべて買い付けるマネジメント・バイアウト=MBOを行って、あえて非上場となる企業が増えています。新型コロナウイルスの影響で事業の環境が大きく変わる中、株主への対応を減らして経営の自由度を高めるねらいもあります。

企業買収などの仲介を手がけるレコフによりますと、ことし上場会社が非上場になることを目的に行ったMBOは先月までの半年間で11件あり、過去10年で最も多いペースとなっています。

このうちアプリを開発する東京のIT企業イグニスは、東証マザーズに上場していましたが、経営陣がアメリカの投資ファンド、ベインキャピタルと共同で自社の株式をすべて買い付け、先月非上場になりました。

不特定多数の株主に左右されず柔軟に事業の転換を進めるのがねらいです。

MBOが多くなっていることについて、レコフは新型コロナウイルスをきっかけに事業の環境が大きく変わっているほか、東芝など“物言う株主”と対立する事例も相次いだため、あえて非上場となって株主への対応を減らし経営の自由度を高めようと考える企業が増えているとみています。

また来年4月には東京証券取引所で市場区分が再編されますが、上場を維持するためのコストが増えると見られていて、今後MBOを選ぶ企業が増える可能性もあります。