金融機関に“働きかけ”発言「融資制限ではない」経済再生相

飲食店に対する酒の提供停止などの要請をめぐり西村経済再生担当大臣は、金融機関に事業者への働きかけを行ってもらう考えを示したことについて、法律に基づくものではなく、事業者への融資を制限するものでもないと説明しました。

新型コロナウイルス対策で、西村経済再生担当大臣は8日、緊急事態宣言などのもとで、飲食店に対し、酒の提供停止などを要請することについて「応じていただけない店舗の情報を金融機関と共有しながら、順守の働きかけを行っていただく。また、メディアで広告を扱う際、順守状況について留意していただくよう、依頼を検討している」と述べました。

これについて西村大臣は閣議のあとの記者会見で「真面目にやっている人がばかを見ないように、不公平だという感じを持たれないよう、社会全体で協力していただける体制で取り組んでもらえればと考えている。要請に応じていただける店に対しては、協力金を先払いし、金融機関にも事業が継続できるよう取り組んでいただきたい」と述べました。

そのうえで「金融機関は多くの飲食店などの事業者と接点があり、日頃から、いろいろなコミュニケーションをとっているので、その一環で、感染防止策の徹底も働きかけてもらえればと思う。法律に基づく要請などではなく、一般的な働きかけを行ってもらえればということだ」と説明しました。

一方、記者団が「金融機関の融資の判断に影響はないか」と質問したの対し、西村大臣は「金融機関には、引き続き、事業者の資金繰り支援に万全を期していただくよう、何度も要請しており、そうした対応をとっていただいていると思う。飲食店への融資を制限することではないと関係省庁とも確認している」と述べました。

加藤官房長官「飲食店への融資 制限をお願いする趣旨ではない」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「詳細は承知していないが、基本的に新型コロナウイルスの拡大防止は、皆さんの力をいただきながら取り組んでいく必要がある。金融機関において、取引先との日常のコミュニケーションの機会などを通じて、事業者などに感染防止策の徹底を呼びかけていただきたいという趣旨で、あくまでもお願いということだ。金融機関には、引き続き、事業者の資金繰り支援に万全を期していただきたいと思っており、飲食店に対する融資の制限などをお願いする趣旨ではない」と述べました。

立憲 安住国対委員長「強圧的な態度 西村大臣は即刻辞任を」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「政権が自分たちの感染対策の失敗のツケを事業者に回す対応であり、何ら効果的な対策にはならない。こうした強圧的な態度に出るのであれば、西村経済再生担当大臣は即刻、辞任したほうがいい。辞任しないのなら、来週開かれる内閣委員会の閉会中審査で厳しく追及したい」と述べました。

共産 田村政策委員長「事業者に対する脅し 憤り禁じえない」

共産党の田村政策委員長は、記者会見で「まさに『銀行がおたくとの取り引きをやめることもあり得る』という事業者に対する脅しだ。ながきにわたる酒の提供の停止に耐えられず、やむなく判断している店を潰しにかかるような脅しまでするとは、憤りを禁じえない。来週の内閣委員会の閉会中審査で、しっかりただしていきたい」と述べました。