菅首相会見 宣言は予防的措置のため 五輪・パラ開催の意義強調

東京都に4回目の緊急事態宣言を出すと決定したことを受けて、菅総理大臣は記者会見し、東京から全国への感染拡大を防ぐために先手先手で予防的措置を講じるためだと説明し、理解を求めました。また東京オリンピック・パラリンピックについて、「人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」と開催の意義を強調しました。

この中で菅総理大臣は、東京都に4回目となる緊急事態宣言を出すと決定したことについて、「東京の感染拡大は全国に広がりうるものだ。ここで再度、東京を起点とする感染拡大を起こすことは、絶対に避けなければならない」と指摘しました。

そのうえで、「先手先手で予防的措置を講じ、東京都に緊急事態宣言を今ひとたび発出する判断をした。ワクチンの効果がさらに明らかになり、病床の状況などに改善が見られる場合には、前倒しで解除することも判断する」と述べました。

そして、「前回の宣言を解除してから3週間で再び宣言に至り、国民の皆様に、さまざまな負担をかけることは大変申し訳ない思いだ。この期間を乗り越えて、安心の日常を必ず取り戻すという決意で取り組んでいく」と述べ、理解を求めました。

またワクチン接種について、先行して接種が進められた国々では、1回接種した人の割合が人口の4割に達したあたりから感染者の減少傾向が明確になったという指摘もあるとしたうえで、「今のペースで進めば今月末には希望する高齢者の2回の接種は完了し、1度でも接種した人の数は全国民の4割に達する見通しだ」と述べました。

そして、全国の自治体には、先月までに9000万回分のファイザーのワクチンが配分され、そのうち4000万回が在庫となっていることが見込まれるとして、在庫を合わせて活用すれば、一日120万回程度のペースで接種を続けることが可能だと説明しました。

そのうえで、接種が進む市町村に多く配分できるよう見直し、配分量を早期に示すほか、企業や大学などの接種も申請の精査を速やかに行い、対応していく考えを示しました。

一方、東京オリンピック・パラリンピックについて菅総理大臣は、緊急事態宣言のもとでの異例の開催となると指摘し、「これまで、緊急事態宣言となれば無観客も辞さないと申し上げてきた」と述べたうえで、このあと開かれる組織委員会、東京都、IOC=国際オリンピック委員会などとの5者会談において、観客の取り扱いが決められると説明しました。

そして「新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が一つになれること、そして人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを東京から発信したい。安心・安全な大会を成功させ、未来を生きる子どもたちに夢と希望を与える、歴史に残る大会を実現したい」と述べて、開催の意義を強調しました。

一方、「どのような状況を実現すれば、安心・安全な東京大会が開催できたと言えるのか」と質問されたのに対し「東京大会が人流を引き起こし、感染拡大につながることは、絶対避けなければならない。ウイルスに侵入されず、感染拡大を阻止したという結果は大事だ」と述べました。

また、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領が東京大会に合わせて日本を訪れた場合、首脳会談を行う考えはあるかと問われたのに対して、開会式への韓国からの出席者はまだ決定していないとしたうえで「大統領が日本を訪れる場合は、外交上、丁寧に対応することは当然のことだと認識している」と述べました。