日銀短観 宿泊・飲食などで3か月先の景気判断大幅改善の見通し

日銀が1日に発表した短観では、新型コロナウイルスの影響を受け厳しい状況が続く、宿泊・飲食サービスなどで、3か月先の景気判断が大幅に改善するという見通しになりました。

期待どおりワクチン接種が進むかどうかが、今後の景気回復を大きく左右することになりそうです。

今回の日銀の短観=企業短期経済観測調査で、3か月先の景気判断の見通しを示す指数は、大企業の非製造業でプラス3ポイントと、今回より2ポイントの改善が見込まれています。

全体の改善幅は小幅にとどまる見込みですが、このうち宿泊・飲食サービスが27ポイントの改善、遊園地や劇場などの対個人サービスが23ポイントの改善と見込まれ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて厳しい状況が続いている業種では、先行きが大幅に改善するという見通しになりました。

これはワクチン接種の加速によって客足が回復していくと期待されているためで、すべての業種の中でも改善幅の見込みがとりわけ大きくなっています。

このため期待どおりにワクチン接種が進むかどうかが、今後の景気回復を大きく左右することになりそうです。

宿泊施設 利用回復に期待

新型コロナウイルスの影響で利用客の減少に悩まされてきた宿泊施設では、ワクチン接種が進むことで今後、客足が戻ることを期待しています。

仙台市太白区の秋保温泉にある旅館では、6月から予約が増え、週末は例年の7割程度まで利用が回復してきているということです。

この旅館では、高齢者を中心にワクチン接種が進み、県内の感染者数も減ったことで旅行への警戒感が和らいだことが背景にあるとみています。

今後、64歳以下の人たちの間でもワクチン接種が進めば、秋以降、客足は例年並みに近づくのではないかと期待しています。

このため、需要回復を見越して、宿泊客がより安心して過ごせる環境を整えようと、宴会などを行うホールを半個室のレストランに改装し、来年2月ごろオープンさせる計画です。

また高齢の人たちにも人気のあるベッドを備えた客室を増やすことにしています。

ホテル佐勘の佐藤勘三郎社長は「皆さんの『外に出たい』という気持ちが、徐々に形になって現れてきたと感じます。皆さんの好みや旅の在り方が変わっている今だからこそ、それに合わせた商品を提供したい」と話していました。