立花隆さん 未公開の映像とメモが語る “若者への人生訓”とは

ことし4月に亡くなったジャーナリストでノンフィクション作家の立花隆さん。平成7年から東京大学の客員教授を務め、みずからゼミも受け持つなど、若い世代の教育にも力を注いでいました。今回、立花さんが残した膨大な資料の一部が明らかになりました。その中にあったメモや未公開の映像には、若い人たちに向けた人生訓や激励のメッセージが残されていました。

「新しい時代は常に若い人たちが作る」

立花さんは、平成7年から東京大学の客員教授を務め、みずからゼミも受け持つなど、若い世代の教育に力を注いでいました。
平成22年のゼミの様子を当時の学生が撮影した未公開の映像では、立花さんは「新しい時代は常に若い人たちが作っていくんです。この日本のシステムを一体どうするのか、君らが自分の問題として考えなければいけない」と、若者を熱く激励する姿が記録されていました。

「フロンティアへ飛び出せ」

「二十歳の生き方十箇条+α」というタイトルで、若者に向けて人生訓を示したパンフレットも見つかりました。

平成21年に行われた東京大学の文化祭「駒場祭」で、立花さんの講演を聞きに訪れた聴講者に配られたもので、そこには「人生の残り時間を意識せよ」とか「失敗は必ず起こる。それを隠さず、それに負けない強さを持て」など、合わせて13の心構えが記されています。
また、「バックグラウンドを踏まえてものを見よ」とか「フロンティアへ飛び出せ」など、立花さんのジャーナリストとしての生き方に通じることばもあり、立花さんはこれらのことばを学生に対して繰り返し語っていたということです。

「自ら出会いを求める探索活動を」

このほか、東京大学の新入生に向けたメッセージの手書きの原稿も残されていて、そこには「多くの人がここで生涯の友人を得る。生涯の友人が得られないとしても、生涯残るような、さまざまな刺激との出会いを体験する。その出会いは、人間であったり、書物であったり、あるいは単なる短い言葉との出会いであったりする。そのような刺激的な出会いにまだめぐまれていない人は、自ら出会いを求める探索活動をする必要がある」と記されていました。

「人生は苦戦の連続」

さらに、立花さんが平成24年11月、「二十歳の君へ」と題して広島県で、大学生らを前に行った講演の様子を収めた未公開の映像も残っていました。

この中で、立花さんは大学生を社会に送り出すことについて、「実は、どうしようもない連中の巣窟みたいなのが、この一般社会なんですね。羊がおおかみの中に送り込まれるのとほとんど同じような状況に、若いナイーブな青年を送り込むことになるわけです」と語っています。

そのうえで、「基本的には、世の中のことをそんなに恐れる必要はない。自分を引っ込めていると、社会と何も交流ができなくなります。ハトのように素直な心を持った人が、社会のいろいろな人たちとコンタクトができる」と、社会に出る際の心構えを伝えていました。
そして、最後に「人生というのは、結局、苦戦の連続なんです。僕も、振り返ると本当に苦戦の連続だったと思います。でも、苦戦を切り抜けていく内的エネルギーを持続させることが大事なんです。それさえやっていけば、皆さんもこれから立派な大人になっていけると思います」とエールを送っていました。

「知らなくちゃいけないという気持ちが湧いてきた」

立花さんのゼミで学んだ齋田行宏さんは、立教大学の4年生だった平成20年にゼミに参加し、卒業後もナチスドイツの強制収容所への取材旅行に同行するなど、交流を続けていました。

立花さんは、現地に行く前に数十冊の本を読んで予習していたということで、「先入観がなく、自分がどこまで知っているか過信しないで、何でも調べようとしていました」と話していました。

そして、「先生を見ていると、知らなくちゃいけないという気持ちが湧いてきて、このままじゃいけない、やっぱりもっと勉強しなければと思いました」と、自身への影響を話していました。

齋田さんは建築関係の仕事をしていましたが、コロナ禍で仕事がほとんど無くなり、いまはIT関係の資格を取るために勉強をしています。

齋田さんは、「いままでは自分がパソコンに詳しいと思っていたんですけど、やっぱりちゃんと勉強しないと分からないことがいっぱいあるなと思います。先生の言うように苦戦の連続ですが、先生の下で20代を過ごした自負があるので、それに恥じないようにいろんなことを知っていきたいと思います」と、立花さんの姿勢や言葉を思い出しながら、決意を語っていました。