東京など感染者増加に転じる動き 再拡大に警戒を 専門家会合

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が、東京都などで緊急事態宣言が解除されたあと初めて開かれました。全国では新規感染者数の減少が続いている一方、人出の増加に伴って東京都や千葉県では増加に転じる動きが見られるとして、感染の再拡大を警戒し引き続き感染対策を取るよう呼びかけました。

専門家会合では緊急事態宣言が継続している沖縄県や、宣言が解除された東京都などの人出や感染の状況などについて分析が行われました。

全国の感染状況については減少傾向が続き、重症者数や亡くなる人の数も減少している一方、人出の増加傾向が見られ、感染者数の減少する速度が鈍る地域もあり、感染の再拡大が懸念されるとしています。

地域別に見ると沖縄県では減少が続いているものの、10万人当たりの感染者数は依然として高い水準にあり、さらに夜間と昼間の人出が増加に転じており、注意が必要だとしています。

一方、首都圏では東京都や千葉県で新規感染者数が横ばいから増加に転じる動きが見られ、東京都では20代の感染が多く、都心部で多い状況になっているとして、特に東京の繁華街などの人出の増加傾向が続くと、感染の再拡大に向かうことが強く懸念されるため、警戒が必要だと指摘しました。

関西では新規感染者数は減っていますが、大阪府では、夜間、昼間とも人出の増加が続き、3回目の緊急事態宣言が出された時期の水準に戻っているため、注意が必要だとしています。

また、北海道や愛知県、福岡県でも新規感染者数の減少が続いているとしています。

さらに、感染力が強いとされるインドで確認された変異ウイルス「デルタ株」について、現在、検査で検出されているのは全国で3%程度ですが、来月中旬には半数が置き換わるという試算もあるとして、注視する必要性を強調しています。

専門家会合は、これまでに緊急事態宣言の解除後にはすぐに人出が増加して感染の再拡大が起きているほか、イギリスで確認された変異ウイルス「アルファ株」や、インドで確認された「デルタ株」の影響で感染拡大が、さらに早く進む可能性もあり、再拡大が強く懸念されるとしています。

そして、急速な感染の再拡大が起きれば結果的に重症者数も増加し、医療体制がひっ迫する可能性があるとして、職域接種を含めたワクチン接種を着実に進め、感染対策を今後も継続すべきだと強調しました。

脇田座長「今後も新規感染者数を重視」

厚生労働省の専門家会合のあとの会見で脇田隆字座長は「ワクチンの接種が進むと感染者数が増えても重症者は減るとみられるが、感染状況の指標としては今後も新規感染者数をしっかり見ていくことが大前提として重要だという議論があった。重症者数や病床の使用率は新規感染者数が増加してから増える傾向がある。これまでと同様に新規感染者数は重視していく必要がある」と話していました。

また、12歳以上の若い世代のワクチン接種については「若い世代は感染しても重症化しにくいが、今回のワクチンは感染そのものを予防する効果やほかの人にうつすのを防ぐ効果が分かってきているので、若い世代でも接種を進めることは意味があると考えている。ただ、接種の際には同意をしっかりとることが重要で学校での集団接種などではさまざまなプレッシャーもあるので、接種の方法について考えていく必要がある。若い世代は痛みに対する反応や接種に対する緊張もあるため、副反応も含めて、今後もデータをしっかり、見ていく必要がある」と話していました。