リトアニアが台湾に新型コロナワクチン提供へ 中国と距離

バルト3国の1つ、リトアニアが新型コロナウイルスのワクチンを台湾に提供することを決めました。リトアニアは台湾に出先機関の設置を目指すなど、このところ中国と距離を置く姿勢を見せています。

台湾の総統府などによりますと、リトアニア政府は22日、アストラゼネカのワクチン2万回分を台湾に提供することを決めました。

台湾の中央通信は9月末までに台湾に届けられると伝えています。

これについて蔡英文総統は総統府を通じて「リトアニア政府に心から感謝する。台湾の人たちもきっと深く心を打たれると思う。バルト海からの友情は非常に貴重だ」というメッセージを出しました。

リトアニアは、中国がヨーロッパ中部や東部などの17か国とつくる経済協力の枠組みのメンバーでしたが、ことし5月に離脱を発表しました。

また、外交関係のない台湾に出先機関の設置をめざすなど、このところ、中国と距離を置く姿勢を見せています。

ワクチンの調達が遅れている台湾には、今月4日に日本が124万回分、20日にアメリカが250万回分を提供していて、今回、ヨーロッパのリトアニアがこれに続いたことに中国は神経をとがらせているものとみられます。

中国報道官 蔡英文政権の対応を非難

リトアニアが、新型コロナウイルスのワクチンを台湾に提供することを決めたことについて、中国外務省の趙立堅報道官は23日の記者会見で「台湾当局は、台湾同胞の生命や健康をきちんと保障し、政治的にもてあそばないよう求める」と述べ、中国からのワクチン提供には応じず、他国から支援を受ける蔡英文政権の対応を非難しました。

また、趙報道官は、中国と国交のあるリトアニアが台湾に出先機関の設置を目指していることについて「いかなる形であれ中国と国交がある国と台湾との公的な往来には断固として反対する。リトアニアには、1つの中国の原則を堅持し、国交を結んだ際の約束を守るよう求める」と述べ、批判しました。