東京五輪の観客議論 5者会談始まる パラは結論先送り案浮上

東京オリンピック・パラリンピックの観客について話し合う大会組織委員会や政府、IOC=国際オリンピック委員会など5者による会談が21日午後4時すぎに始まりました。

会談では政府のイベント制限の方針に準じて観客を入れる方向で議論される見通しですが、パラリンピックについては開幕までに状況が変わる可能性があるとして結論を先送りする案が浮上しています。

東京大会をめぐり組織委員会と政府、東京都、IOC、IPC=国際パラリンピック委員会の5者は、ことし3月に海外からの観客の受け入れ断念を決め焦点となっていた国内の観客については観客を入れる方向で最終調整されています。

21日は午後4時すぎから改めて5者による会談が始まり、この中では緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されたあとは収容人数の50%以内で上限を1万人とする経過措置を講じるという政府のイベント制限の方針を軸に意見が交わされるものと見られます。

一方で、パラリンピックについては開幕まで2か月以上あり、新型コロナの感染状況が変わる可能性があるとして、結論を先送りする案が浮上しています。

さらに、オリンピックの開会式は、参加する選手団とは別に観客とスポンサーなどの招待客、それに、大会関係者などが合わせて2万人以上来場すると見込まれていてこうした人たちの扱いも焦点となっています。

新型コロナウイルスの感染対策に当たる専門家の有志が先週、無観客での開催が望ましいなどと提言したことを受けて、組織委員会の橋本会長は感染状況などによっては無観客での開催に切り替える可能性にも言及していて、観客の扱いをめぐり最後まで調整が続く見通しです。

IOCバッハ会長 「いかなる決断も支持する」

IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長は5者会談の冒頭「大会まで32日で大会を実施する段階にある。すでにコーツ調整委員長も日本にいて、安全安心な大会のためにともに準備を進めている」と話しました。

また、ワクチンについて選手村に入る選手などの8割、メディアに関しても8割近くが接種するという見通しを明らかにした上うえで「接種率の向上に向けては関係者と連絡を取り合い、日本へ到着する日まで続く」と述べてワクチン接種をぎりぎりまで続ける考えを強調しました。

そのうえで21日の会合について「大会の観客数について話し合う。いかなる決断であってもそれは日本の皆さん、そして参加者を守るためのものであり、IOCは完全にそれを支持する」と話しました。

組織委 橋本会長「きょうの会議で方向性決めたい」

組織委員会の橋本聖子会長は「これまで数多くの課題をこの5者会談で決めてきたが、きょうは最後に残った大きな課題、観客数の在り方について議論を行いたい。先週の木曜日には政府などと基本的な方針を定め、金曜日には専門家の提言をいただき、その後の組織委の専門家、ラウンドテーブルで熱心な議論をしてきた。そのうえで、きょうの会議でその方向性を決めたい。選手や関係者、それに都民、国民の安全安心が最も大切だ。引き続き、丁寧な説明をしたい。変異株への対応やワクチン接種を政府や都と一体になって取り組んでいく」などと述べました。

IPC パーソンズ会長「史上もっとも重要な大会となる」

IPC=国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長は「大会の準備は最終局面を迎えていて順調だ。競技の出場枠は82%が決まり、168の国と地域にのぼる。選手村に入る人たちの80%がワクチンを接種する見通しだ。東京パラリンピックは史上もっとも重要な大会となる」と述べました。

東京都 小池知事「無観客含めて検討を」

東京都の小池知事は「大会の準備が着実に進んでいることを報告する。何よりも優先するのは安全安心を確保することだ。きょうは観客数がテーマだが、都民や国民はまだまだ不安で専門家からも感染拡大リスクを指摘されている。健康を守る立場で安全な環境で開催する必要がある。感染状況や医療状況に変化がある場合は5者会談で、無観客を含めて対応を検討する必要があると思う」などと述べました。

丸川五輪相「交通規制など総合的対策を」

丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣は「観客上限についてはスポーツイベントで基本として定める規制方針を踏まえてしっかりと議論をしたい。安全安心な大会の実現や人流抑制の観点から、専門家からも観客数、行き帰りや会場内での感染防止策などについて意見をもらった。大会期間中に市民生活の共存を図ることが重要だ。交通規制など総合的な対策を検討していきたい」と話しました。