組織委の専門家議論「観客数方針決めたあとも柔軟な対応重要」

東京オリンピック・パラリンピックに伴う感染拡大のリスク評価について政府の分科会の尾身会長など有志の提言を受けた大会組織委員会は、専門家による会合を開いて提言について議論し、この中で参加者からは「観客数の方針を決めたあとも、状況に柔軟に対応することが非常に重要だ」といった意見が出されました。

政府の分科会の尾身会長は専門家の有志でまとめた東京大会に伴う感染拡大のリスク評価についての提言を組織委員会に提出し、その後、組織委員会は新型コロナ対策を検討する専門家会議を開きました。

この中では、提言で大会の規模縮小が求められていることに関連して、オリンピックとパラリンピックを合わせて海外から来日する関係者の数が当初の3分の1以下に当たる5万3000人まで減らすことができたと報告されました。

また提言で観客について、無観客が望ましく、観客を入れる場合もより厳しい基準を採用すべきで人の流れを抑制するため開催地の人にかぎり、感染拡大の予兆があれば無観客にすることなどが求められていることについて、参加者からは「観客数に関する大きな方針を決めたあとも状況に柔軟に対応することが非常に重要だ」とか、「意思決定プロセスを整理しておくべきだ」といった意見が出されました。

そして、観客については数だけでなく行動面の対策も必要だとして、新たに作成される「観客向けガイドライン」の素案も示されました。

この中では、家と会場との「直行・直帰」を求めることや時間差で会場を訪れること、それに路上での飲食を控えてもらうことなどが盛り込まれ、ガイドラインを守らない観客に対しては、退場してもらうなどの措置も検討するということです。

組織委員会や政府、IOCなど5者は、来週にも会談を開き、観客数の上限などを判断することにしています。

海外関係者は5万3000人に削減

東京大会のため海外から日本を訪れる選手以外の関係者について
組織委員会は、先月21日の時点で
▽オリンピックが5万9000人、
▽パラリンピックが1万9000人の
合わせて7万8000人に上ると明らかにしてました。

その後、「オリンピック・パラリンピックファミリー」と呼ばれる
IOCやIPCの関係者についても、精査した結果、
▽オリンピックファミリーは3000人から1200人に、
▽パラリンピックファミリーは2000人から400人に
減少したということです。

さらに、来日する海外メディアの人数も減ったため、
海外からの関係者は18日の時点で
▽オリンピックが4万1000人、
▽パラリンピックが1万2000人の
合わせて5万3000人となっているということです。

これで、大会の延期前に予定していた
17万7000人の3分の1以下に減少したことになります。

一方で、海外からの関係者のうちIOCから提案があった医療スタッフの派遣について、これまでに医師と看護師などを合わせて100人以上に上る見込みになったということで、組織委員会は、選手村の総合診療所や感染症対策センターなどでの活動内容や日程を調整しています。