イギリスとロシア インドの変異ウイルス“デルタ株”が急拡大

イギリスでは、インドで確認された変異ウイルスによる感染が急速に拡大していて、17日、1日の感染者がことし2月下旬以来、初めて1万人を超えました。

また、ロシアでも今月に入って新型コロナウイルスの感染が再拡大していて、政府の高官は、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株の割合が急増していることを明らかにしました。

イギリス 感染者数 1万人超 2月下旬以来

イギリスでは、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株が先月から急速に拡大していて、ジョンソン首相は、今週、イングランドで残っているほとんどの規制の撤廃をおよそ1か月延期すると発表したばかりです。

保健当局によりますと、イギリス国内で新たに感染が確認された人は、17日、1万1007人となり、ことし2月下旬以来、初めて1万人を超えました。

入院している人も1000人を超え増加傾向となっています。

保健当局は、この変異ウイルスの感染力はイギリスで確認されたアルファ株よりも強いとしていて、現在、新たな感染の90%以上を占めていると分析しています。

感染が確認される人はワクチンを接種していない若い世代に多いという調査結果もあり、18日からは18歳以上のすべての成人に対象年齢を拡大し、ワクチンの接種を進めることにしています。

さらにインドで確認されたデルタ株に対しては、ワクチンを2回接種することが有効だと分析していて、40歳以上については、接種の間隔を最大12週間から8週間に短縮するなど対応を急いでいます。

ロシア 感染者数 1万4000人超 先月末比で6割以上多く

一方ロシアでは、17日、1万4000人を超える新たな感染者が確認され、先月末と比べて6割以上多くなりました。

政府の対策会議で、首都モスクワの市長は、市内で確認される新たな感染者の数が1日3000人から7000人になるまで数日もかからなかったと指摘したうえで「これほど急激な増加は過去にはなかった」と危機感を示しました。

また、政府の対策本部で感染状況を検証する福祉監督庁のポポワ長官は「この2週間で、インド株の割合が顕著に増えている」と述べ、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株の感染者が急増していることを明らかにしました。

感染の再拡大を受けてモスクワでは今週ほとんどの民間企業を休業としたほか飲食店の営業時間を制限する緊急の措置が取られていますが、今のところ収束の兆しはなく、首都の感染状況は最悪だった去年12月の状況に近づきつつあります。