「宣言」7都道府県“まん延防止”移行決定 沖縄は「宣言」延長

新型コロナウイルス対策で、10都道府県に出されている「緊急事態宣言」について、政府は、沖縄を除く9都道府県で解除し、このうち東京や大阪など7都道府県は「まん延防止等重点措置」に移行することを決定しました。

政府は午後5時すぎから、総理大臣官邸で新型コロナウイルス対策本部を開き、菅総理大臣をはじめ、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らが出席しました。

そして、10都道府県に出されている「緊急事態宣言」について、沖縄を除く9都道府県は期限の今月20日で解除し、このうち東京や大阪など7都道府県は、来月11日までの期間「まん延防止等重点措置」に移行することを決定しました。
宣言から重点措置への移行は、初めてとなります。
一方、沖縄については、医療提供体制が依然としてひっ迫していることから、宣言の期間を来月11日まで延長します。

「まん延防止等重点措置」適用の5県は

また「まん延防止等重点措置」が適用されている5県のうち、岐阜と三重は、期限の今月20日で解除する一方、埼玉、千葉、神奈川の3県は、来月11日まで期間を延長することも決定しました。
これによって、来月11日までの期間、宣言の対象地域は沖縄の1県に、重点措置の適用地域は、北海道、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡の10都道府県になります。

このほか、重点措置の適用地域の飲食店に対し、午後8時までの営業短縮を引き続き要請したうえで、感染対策の徹底を前提として酒類の提供は午後7時まで可能とし、感染状況に応じて知事の判断で酒類の提供を停止できるなどとすることも決めました。

菅総理大臣は17日午後7時をめどに記者会見を行い、国民に理解を求めるとともに、引き続き対策への協力を呼びかけることにしています。

東京など4都府県 宣言は57日間に

3回目となる緊急事態宣言は、ことし4月25日から東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に始まりました。

当初は、大型連休を中心に、短期間に集中的な対策を講じて感染を抑え込むことを目指していましたが、期間の延長や対象地域の拡大が続き、結果として10都道府県に宣言が出されました。

最初に宣言が出された4都府県では、期間が57日間となります。

一方、東京や大阪などでは、宣言の解除後もまん延防止等重点措置が適用されることになり、飲食店の営業時間短縮などが続くことから、対策の長期化によるさらなる経済への影響や、国民の自粛疲れが懸念されます。

菅首相「感染再拡大には機動的に対処」

菅総理大臣は政府の対策本部で、全国の感染状況について「感染者数は5月中旬以降、減少が続いており、重症者数も減少が続き、病床の状況も確実に改善している。一方、地域によっては感染者数の下げ止まりが見られリバウンドの可能性も指摘されている」と述べました。

また「感染が再拡大し、医療のひっ迫の兆しが見られた場合には、対策の強化を含め、機動的に対処する。感染防止対策を徹底するとともに、ワクチン接種を進めていく。今月末には4000万回を超える見込みですべての市町村で7月末までには、希望する高齢者への2回の接種が完了する見込みとの報告を受けている」と述べました。

そして「各大臣は、感染防止対策やワクチン接種について、関係省庁と協力し、全力をあげて取り組んでもらいたい」と指示しました。

自民 岸田前政調会長「経済とのバランス重要」

自民党の岸田前政務調査会長は、記者団に対し「緊急事態宣言の解除は、最近の感染状況や飲食業をはじめとする多くの方々の厳しい現状を考えたとき、ひとつの判断として国民から理解を得られるのではないか。感染拡大の阻止を最優先としながらも、ワクチン接種の状況も踏まえて経済とのバランスを考え続けていくことが重要だ」と述べました。

立民 枝野代表「再宣言必至で無責任」

立憲民主党の枝野代表は、記者団に対し「直近では東京で、明らかに感染のリバウンドの兆候と見えるような数字が出てきていて、感染者数が下げ止まっていることは間違いない。1か月後にまた緊急事態宣言を出すことは必至であり、現時点での解除は、あまりに無責任ではないか」と述べました。

公明 山口代表「感染防止策 国と自治体が認識共有を」

公明党の山口代表は、党の中央幹事会で「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が、継続・変更されるところがあるので、感染防止策について、国と自治体がしっかり認識を共有して進めてもらいたい。ワクチン接種はすでに職域接種も始まり、来週21日からはそれが本格化する。接種の加速を一層促し、足らざるところを補い、国民の安心を作り出していかなければならない」と述べました。

共産 志位委員長「東京は解除条件なく反対」

共産党の志位委員長は、記者会見で「東京は、新規感染者数が下げ止まり、感染のリバウンドの兆しも若干ある。少なくとも、東京について緊急事態宣言を解除する条件はなく、反対だ。十分な補償や、支援の抜本的な強化を行い、宣言は継続すべきだ。ワクチン接種と一体的に大規模検査を行って、感染抑制のための責任を果たすべきだ」と述べました。

国民 玉木代表「感染再拡大懸念ぬぐえず」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「インドで確認された変異ウイルス『デルタ株』が広がり、オリンピックの開催で人流が増えた場合、早ければ来月前半から宣言の再発令が必要になる可能性があるという専門家の分析もある。今、宣言を解除し、本当に大丈夫なのかという懸念を拭うことができない」と述べました。

また「私たちは、安全安心なオリンピックを開催できるかどうかを検証すべきだと言ってきたが、どうしても開催するということであれば、せめて無観客にすることなどが必要だ」と述べました。

全国銀行協会 三毛会長「資金支援継続が最重要課題」

全国銀行協会の三毛兼承会長は、会見で「長期化する感染拡大防止の措置で飲食・宿泊をはじめとする対面型サービスや、食材を納入する卸売り事業者などでは厳しい経営環境が続いている。今後も資金繰りの相談に丁寧に対応し、きめ細かな資金支援を継続することが最重要課題だ」と述べました。

第二地方銀行協会 安田会長「地域を支えたい」

第二地方銀行協会の安田光春会長は、会見で「新型コロナの影響で中小企業の中でも特に飲食や観光・サービス業は極めて厳しい状況にある。宣言の解除でこれらの業種がどの程度上向きになるのか見積もることは難しい。地域金融機関としては引き続き、取引先の資金繰り支援や返済条件の変更などを行って、地域を支えていきたい」と述べました。

日本商工会議所 三村会頭「ワクチン接種加速を」

日本商工会議所の三村会頭は記者会見で「沖縄は医療体制がまだまだ大変なので、宣言が継続するとの内容は妥当な結論だ。ただ、解除される地域もオリンピックや変異ウイルスなどいろいろあるので、われわれの光はワクチン接種だと思う」と述べ、東京オリンピック・パラリンピックの開催や変異ウイルスの感染が広がるのを前に、ワクチン接種を加速させるべきとの考えを改めて示しました。

また、担い手の確保など課題が指摘されていた中小企業の職域接種については「さまざまなやり方があるとは思うが、自治体との連携などが進んでいくと思う。大企業でもみずからの従業員だけでなく、取引先なども対象にした大規模接種の話も出ている」と述べました。

経団連 十倉会長「緊張感を維持しながら」

経団連の十倉会長は「社会経済活動の正常化に向けた一歩として前向きに受け止めている。国内においては、変異ウイルスによる感染も確認される中、再び大規模な感染拡大が生じることを避けるため、引き続き緊張感を維持しながら、感染拡大の防止と社会経済活動の両立をはかる必要がある。政府や自治体には、まん延防止等重点措置の機動的かつ柔軟な運用などにより、急所をおさえた感染対策を継続することが求められる。経済界としてはテレワークの推進などで接触機会の削減をはかり、感染拡大防止の取り組みを徹底していく」とするコメントを発表しました。