【検察側冒頭陳述など詳細】ゴーン容疑者手助けの2人初公判

日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン容疑者のレバノンへの逃亡を手助けした罪に問われている、アメリカ人の特殊部隊の元隊員ら2人の初公判が開かれ、元隊員らは「間違いありません」と起訴された内容を認めました。また検察は「元隊員はゴーン元会長の妻から依頼され、逃亡を手助けすることを決意した」と述べました。

アメリカ軍の特殊部隊「グリーンベレー」の元隊員、マイケル・テイラー被告(60)と、息子のピーター・テイラー被告(28)は、おととし12月、日産のゴーン元会長を大型のケースの中に隠してプライベートジェットに乗せ、レバノンへの逃亡を手助けしたとして、犯人隠避の罪に問われています。

14日、東京地方裁判所で開かれた初公判に2人は黒いスーツ姿で出廷し、いずれも「間違いありません」と述べて起訴された内容を認めました。

このあと検察は冒頭陳述で「マイケル被告は、偽証の疑いで逮捕状が出ているゴーン元会長の妻のキャロル容疑者を知人から紹介され、キャロル容疑者から『このままでは、夫は刑務所に入れられる。日本から連れ出しほしい』と依頼を受けた。被告は逃亡5か月前のおととし7月ごろには、逃亡を手助けすることを決意した」と説明しました。

また、14日の裁判で被告の弁護士は「事件の背景にはゴーン元会長が被告らの縁者、親類であったことが一因だった」と述べました。

検察側の冒頭陳述などの詳細

14日の初公判で読み上げられた検察側の冒頭陳述などの詳細です。

ゴーン元会長は、おととし6月ごろには日本国外に逃亡することを企てていた。

マイケル被告は、そのころレバノンで知人から、元会長の妻のキャロル容疑者を紹介され、キャロル容疑者から、このままでは夫が刑務所に入れられてしまう、日本から連れ出してほしいと依頼され、ゴーン元会長からも直接電話で逃亡を手助けするよう依頼されていた。

マイケル被告は、おととし7月ごろ、報酬を期待して元会長を国外に連れ出すための便宜を与えることを決意した。

マイケル被告の息子でインターネット広告代理業を行っているピーター被告は、おととし7月と8月、日本の弁護士事務所などで複数回にわたって、ゴーン元会長と面談した際、元会長から逃亡の費用はピーター被告が経営する会社に送金したいなどと持ちかけられ、これに応じることとし、マイケル被告にも報告した。

逃亡の準備の状況

ピーター被告は、ゴーン元会長から逃亡の費用などとして、自分が経営する会社名義の口座におととし10月9日に54万ドル、25日に32万2500ドルの送金を受けた。

ピーター被告は、父親のマイケル被告の依頼により、10月29日にこの口座から40万ドルをプライベートジェット機の手配を行う会社名義の口座に送金するとともに、10月16日から11月13日までの間に複数回にわたって10万3000ドルをマイケル被告が経営する会社名義の口座に、合計17万ドルをマイケル被告名義の口座に送金した。

マイケル被告は、おととし9月ごろ、陸軍所属当時からの知り合いで逃亡を手助けした共犯として逮捕状が出ているジョージ・ザイエク容疑者に協力を呼びかけ、ザイエク容疑者は日本の空港の保安検査の実情を調査するなどし、関西空港ではプライベートジェット機による出国の際には保安検査が行われていないなどの情報を得るなどした。

マイケル被告は、元会長との間で逃亡の方法について話し合いを重ね、おととし12月上旬ごろまでには、ゴーン元会長の発案で元会長を大型の箱に隠し入れ、その箱をプライベートジェット機に搭載して元会長を国外に連れ出すこととした。

マイケル被告は、ゴーン元会長から寸法を伝えられるなどして、12月下旬、レバノンで元会長を隠し入れるための音響機材を入れるような大型の箱を入手したうえで、元会長が呼吸できるようにその箱にドリルで穴を空けるなどした。

逃亡前日から当日の状況

マイケル被告は、ザイエク容疑者とともに、おととし12月29日朝にドバイから関西空港に到着するチャーター便と、29日夜に関西空港を出発してトルコに向かういずれもプライベートジェット機のチャーター便を手配した。

逃亡当日の12月29日、ゴーン元会長は、当時居住していた港区の制限住居から複数のキャリーケースを運び出して車に積み込んだ。

元会長の三女のマヤ氏は、午後1時53分ごろ、運転手が運転するこの車に乗ってピーター被告が宿泊していた東京 港区のホテルに向かった。

ピーター被告は、ゴーン元会長からの連絡を受け、地下駐車場に到着したマヤ氏から荷物を受け取った。

ゴーン元会長は、午後2時半ごろ、帽子、マフラー、サングラスを着用し、制限住居から徒歩でピーター被告が宿泊していたホテルに向かい、マイケル被告、ザイエク容疑者らと合流し、新幹線やタクシーで関西空港に向かった。

マイケル被告は、午後9時ごろ、関西空港のプライベートジェット機専用の施設で施設の従業員に対し、1万円札の札束(およそ1万ドル相当)をチップとして差し出したうえ、保安検査が行われないことを確認したり、搭乗予定のジェット機の機長との取り次ぎを依頼して、予定どおり離陸できるか確認したりした。

逃亡後の状況

マイケル被告は、犯人隠避などの疑いで自身とピーター被告に逮捕状が出たことを知り、ゴーン元会長に弁護士費用等の送金を催促したところ、元会長からビットコインを送金する旨の連絡がなされた。

そして去年2月から5月にかけて、ゴーン元会長の息子のアンソニー氏名義の口座からピーター被告名義の口座に、50万ドル相当のビットコインが送金された。

「拷問受けている」を信じてしまった

また14日の初公判ではマイケル被告らの供述調書も読み上げられました。

それによりますとマイケル被告は「プライベートジェットの機内でゴーン元会長は『拷問を受けた』『日産にはめられた』という話をしていたが、最後までひとこともお礼を言わなかった。元会長が『日本で拷問を受けている』というので信じてしまったが私は拷問を受けていない。検察官は公平だった。元会長や妻のキャロル容疑者から聞いていたことと違う」などと供述しているということです。