ファイザーワクチン接種後 7人に心筋炎などの症状 厚労省

ファイザーの新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は、接種を受けた7人に心筋炎などの症状が確認されたと明らかにしました。アメリカでも、比較的少ないものの同様の症状が報告されていて、厚生労働省は「現時点で重大な懸念は認められない」としたうえで情報の収集を続けています。

厚生労働省によりますと、先月30日までに国内でファイザーのワクチンの接種を受けた人はおよそ976万人で、20代から60代の男女合わせて7人が心筋炎や心膜炎を起こしたと医療機関から報告がありました。

このうち6人は男性で、2回目の接種後に症状が見られたということです。

アメリカでも、同じ「mRNA」を使ったワクチンを接種した人に、比較的少ないものの心筋炎が確認されていて、16歳以上の若い男性や2回目の接種後のほうが多いということです。

厚生労働省は「現時点で接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」としたうえで、引き続き国内外の情報を収集していくことにしています。

専門家「感染で心筋炎になるリスクのほうが高い」

新型コロナウイルスのワクチンを接種したあとで「心筋炎」などの症状が出た人が確認されたことについて、循環器内科が専門で慶応大学の福田恵一教授は「ウイルスへの感染が原因で起きる心筋炎は、重症化すると命に関わるため非常に注意しなければならないが、今回のワクチンにはウイルスが含まれておらず、免疫の反応によって心臓に炎症が起きているとみられる。ワクチンの接種を終えたあとに心筋炎が起きる可能性を考慮して対応することは大切だが、ウイルスによるものと比べると症状は強くはないと考えられる」と話しています。

そのうえで「新型コロナウイルスへの感染によって心筋炎を発症する人は一定程度いる。現段階で明らかになっているワクチン接種後に症状が出た頻度やその症状などを見るかぎり、新型コロナウイルスに感染して心筋炎になるリスクのほうがずっと高い。ワクチン接種で得られるメリットがリスクを大きく上回るため、積極的に接種すべきだと考える」と話しています。

アメリカCDC調査 2回目や若い年代の人のほうが多い

アメリカのCDC=疾病対策センターは、医療機関だけでなく、接種を受けた本人なども報告できる「VAERS」と呼ばれる仕組みで接種後の症状を調査しています。

アメリカでは、先月29日の時点で、延べ889万2000人がファイザーとモデルナのワクチンの接種を受けていて、現時点で接種との因果関係は不明ですが、2回目の接種を受けた人や若い年代の人のほうが心筋炎や心膜炎の報告が多くなっています。

2回目の接種後に症状が報告されたのは先月31日の時点で528人で、このうち12歳から24歳が52%を占めました。

また、30歳以下で、心筋炎や心膜炎の症状が報告された人のうち、状況が判明した285人について分析した結果、95%(270人)が退院していました。

退院後の体調を把握できた人の81%(180人/221人)は完全に回復していたということです。

一方、15人は入院中で、このうち3人は集中治療室に入っていたということです。

CDCはデータをさらに分析するため、今月18日に予防接種の実施に関する諮問委員会を開くことにしています。