G7サミット開幕へ コロナや中国対抗策で結束した対応出せるか

G7サミット=主要7か国首脳会議が日本時間の11日夜、イギリスで始まります。
対面での開催は2年ぶりで、アメリカのトランプ大統領の在任中、足並みが乱れたG7各国が新型コロナウイルス対策や中国への対抗策で結束した対応を打ち出せるかが焦点になります。
また、菅総理大臣としては、東京オリンピック・パラリンピックで感染対策を徹底することなどを説明し、各国の理解を得たい考えです。

G7サミットはイギリス南西部のコーンウォールで11日午後、日本時間の11日夜、始まります。

各国の首脳が直接顔を合わせる形で開催されるのは2年ぶりです。

G7各国はアメリカ第一主義を掲げたトランプ前大統領の在任中、足並みが乱れましたが、今回、初めて参加するバイデン大統領は価値観を共有する国との協調を重視する姿勢で再び結束を図りたい考えです。

会議では、新型コロナウイルスの感染拡大を世界全体で収束させるためのワクチンの公平な供給の在り方や、ことし秋に開かれる地球温暖化対策の国連の会議、COP26を前に気候変動の課題などについて意見が交わされます。

特に注目されるのは中国への対応です。

G7は先月の外相会合で中国の覇権主義的行動や人権問題などに懸念を示しており、アメリカは今回、途上国へのインフラ支援で、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する新たな構想を共同で発表するとしています。

ただ、各国の間では対中国で温度差があり、今回のサミットでG7として結束した対応を打ち出せるかが焦点になります。

また新型コロナウイルスのワクチンをめぐって議長国のイギリスは、来年中に感染拡大を収束させるため、G7として少なくとも10億回分のワクチンを提供することで合意する見込みであることを明らかにしました。

G7サミットは13日まで3日間の日程で開かれ、議論の成果を首脳宣言にまとめることになっています。

東京五輪・パラ 菅首相 「理解を得たい」

菅総理大臣にとっては、去年9月の就任以来、初めて臨む対面での国際会議となります。

今回のサミットでは、新型コロナウイルスワクチンの全世界への供給や、覇権主義的な行動を強める中国への対応などをめぐって議論が行われる見通しで、どのようなメッセージを打ち出すのかが焦点となります。

また、菅総理大臣は、10日夜、出発前に東京オリンピック・パラリンピックについて「感染対策を徹底し、安全・安心の大会を実現する。こうしたことを説明して、理解を得たい」と述べました。

菅総理大臣としては、感染対策や水際対策を徹底することなどを通じて、大会を実現する方針を説明し、各国の理解を得たい考えです。

議長国イギリスのねらい

議長国イギリスのジョンソン首相にとって、EU=ヨーロッパ連合から離脱したあと、初めて対面で開かれる今回のサミットは、国際社会における存在感を示す重要な機会となります。

2年前にフランスで開かれたサミットは首相としての外交デビューの場となりましたが、今回はG7を結束させることができるのか、議長としての手腕が問われることになります。

イギリスの王立国際問題研究所のレナータ・ドワン副所長は、「ジョンソン首相は、オーストラリアやインド、韓国を招待することでインド太平洋への関与を強める姿勢を強調し国際社会におけるイギリスの存在を示そうとしている」と述べました。

また、気候変動問題や新型コロナウイルスのようなパンデミックに連携して対応していくことなどを優先的な課題として位置づけているという見方を示しました。

さらに経済や安全保障面で国際的な影響力を強める中国について、ドワン副所長は、サミットの焦点だと指摘したうえで、「G7各国は中国に対する立場では一致していない。イギリスを含む多くの国にとって経済的なパートナーでもある。ドイツやフランスはアメリカと中国の間で選択を迫られるようなことは嫌がるだろう」と述べました。

このため、非公式の場では、台湾をめぐる問題についても自由な議論が交わされるものの、サミット終了後に発表される文書では、中国に関して非常に注意深い表現になるという見方を示しました。

脱中国の供給網構築が焦点に

今回のG7サミットでは、安全保障上、重要性を増している半導体などの先端技術や希少資源について、中国の存在感が高まるなか、中国に依存しない形での供給網=サプライチェーンの構築でどこまで連携を深められるかが焦点となります。

スマートフォンや自動車など多くの製品に欠かせない半導体や、希少な資源のレアアース、それに電気自動車の中核となる蓄電池などの分野では中国が国家主導で産業の育成を進めています。

これに対抗して、アメリカのバイデン政権は、安全保障に直結する半導体について、国内での生産や研究開発を支援するため、5兆5000億円規模の国費の投入を議会に働きかけるなどとする計画を明らかにしています。

また、EU=ヨーロッパ連合も2030年までに域内での半導体生産を倍増させることなどを柱とする目標を掲げていて、中国への依存度を下げるための動きが活発化しています。

こうした動きも踏まえ、今回のサミットでは主要7か国が中国に依存しない形で供給網を構築するために、どこまで連携を深められるかが焦点となります。

気候変動対策も主要なテーマの1つ

今回のG7サミットでは、主要なテーマの1つとして気候変動対策について議論が交わされます。

G7各国は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという目標で一致していて、ことし4月に開かれた気候変動サミットでは、出席した各国の間で2030年に向けた削減目標を大幅に引き上げる動きが相次ぎました。

こうした中で開かれる今回のサミットでは、温室効果ガスの世界最大の排出国である中国などを念頭に世界全体の脱炭素化に向けて、どのようなメッセージを打ち出すかが焦点となります。

一方、脱炭素社会に向かうにあたり、当面は、コストが安い石炭火力発電を利用せざるをえないアジアの途上国もあるとして、日本政府は、厳格化した条件のもとで石炭火力発電の輸出を支援する方針です。

日本が支援を続けることについてヨーロッパなどから批判が出る中で、先に開かれたG7の気候・環境相会合では、各国の事情に応じた対応を認める内容の表現が共同声明に盛り込まれたことから、日本政府は一定の理解を得られたとしていますが、今回のサミットでさらに厳しい対応を迫られた場合、難しい立場に立たされることになります。