稚内市沖合で拿捕の日本漁船 ロシア国境警備局が解放

北海道稚内市の沖合で先月、ロシアの国境警備局に拿捕(だほ)された日本の漁船について、ロシアの国境警備局は10日午後、漁船を解放したと発表しました。乗組員14人の健康状態に問題はないということです。

北海道の稚内機船漁協所属の底引き網漁船「第百七十二榮寳丸」は、先月28日、稚内市の沖合で操業中にロシアの国境警備局に拿捕されて、サハリン南部のコルサコフ港に連行されていました。

これについてロシアの国境警備局は日本時間の10日午後3時半ごろ、漁船を解放したと発表しました。

発表によりますと、漁船はロシアの排他的経済水域での漁業規則に違反し、国境警備局からの停船の求めに応じなかったなどとして、日本円にしておよそ900万円の罰金を科したということです。

罰金はすでに全額が納付されたことから、漁船を解放したということです。

サハリンの日本総領事館によりますと、14人の乗組員の健康状態に問題はないということです。

日本時間の午後3時半ごろ、漁船は拿捕されていたサハリン南部の港を出発し、北海道稚内市に向かっているものとみられます。

漁船の拿捕をめぐっては、日本の外務省は漁船は日本の排他的経済水域で操業していたとして、ロシア側に抗議し、速やかな解放を求めていました。

漁協組合長「解放の情報入りよかった」

「第百七十二榮寳丸」が解放されたことを受けて、所属する北海道稚内市の稚内機船漁協の風無成一組合長は、NHKの電話取材に対し「サハリンにいる関係者から解放されたという情報が入ってよかった。ただ、稚内に戻るまでは安心できません」と話していました。

加藤官房長官「健康状態 問題ないこと確認」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「きょう午後3時すぎ、ロシア側の関係当局から『第百七十二榮寳丸』の船体、および乗組員14人全員がコルサコフ港を出発したとの連絡を受けた。さらなる事実関係は現在、確認を行っているところだが、現時点で、乗組員全員の健康状態について、特段、問題はないことは確認している」と述べました。

漁船は11日に稚内港に到着する見通し

北海道稚内市の稚内機船漁協によりますと、解放された「第百七十二榮寳丸」は、連行されていたサハリン南部のコルサコフ港から稚内港に向かっていて、日本の排他的経済水域に入るまでは、ロシア国境警備局の船の監視のもと、速度を落として航行するということです。

そして、11日の午前6時から7時の間に稚内港に到着する見通しだということです。

漁協がコメント「不当連行だ」

「第百七十二榮寳丸」が解放されたことを受けて、所属する北海道稚内市の稚内機船漁協の風無成一組合長は、報道各社にコメントを発表しました。

この中で「安どの気持ちでいっぱいです。国や北海道をはじめ多くの関係者に心配をかけ、また、解放に向けて協力を受けたことに心よりお礼申し上げます」としています。

また、今回の拿捕については「不当連行だ」としたうえで「経緯については政府間の交渉でもありますので、コメントを差し控えさせていただきます」としています。