昨年度の生活保護申請22万件余 リーマンショック以来の増加

昨年度の生活保護の申請件数は22万8000件余りと前の年度より2.3%増えて、リーマンショックの影響を受けた2009年度以来の増加となったことがわかりました。厚生労働省は「新型コロナウイルスの影響が長期化する中、再就職が難しいことなどから生活が苦しく追い詰められる人が増えている」としています。

厚生労働省によりますと、昨年度に生活保護が申請された件数は速報値で22万8081件と前の年度と比べて5039件、率にして2.3%増えました。

生活保護の申請件数が前の年度より増加したのは、リーマンショックの影響を受けた2009年度以来です。

またことし3月に生活保護が申請された件数は、全国で2万2839件で、前の年の同じ月と比べて1809件、率にして8.6%増えました。

生活保護の申請件数が前の年の同じ月より増加したのは7か月連続です。

前の年と比較した増加率は去年9月は1.7%でしたが、11月は2.7%、12月は6.5%、ことし2月は8.1%、3月は8.6%と大きくなる傾向にあります。

またことし3月の申請件数は、新型コロナウイルスが感染拡大する前のおととしの同じ月と比べると16.6%増加しています。

厚生労働省は「新型コロナウイルスの影響が長期化する中、再就職が難しいことなどから生活が苦しく追い詰められる人が増えている。3度目の緊急事態宣言が延長されるなど、状況はさらに深刻化するおそれがある」としています。

厚生労働省はホームページで「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですのでためらわずにご相談してください」とメッセージを発信しています。

加藤官房長官「生活を支えていきたい」

加藤官房長官は午後の記者会見で「月次の速報値を足し上げれば、令和2年度はリーマンショックの影響を受けた平成21年度以降で初めて保護の申請件数、および保護の開始世帯数が前年度比で増加となっているところだ。今後とも動向を注視していくことが必要と考えている」と述べました。

そのうえで「貸付金がこれ以上受けられない世帯を、新たな就労や生活保護の受給に円滑につなげていくため、ひと月で最大10万円を3か月間支給する支援金を設けることと、緊急小口資金などの特例貸し付けは申請期限を8月末まで2か月延長する措置を講ずることとした。引き続き重層的なセーフティーネットによって困窮している皆さんの生活を支えていきたいと考えている」と述べました。