WHO 中国「シノバック」のワクチンを緊急使用リストに追加

WHO=世界保健機関は中国の製薬会社シノバックの新型コロナウイルスのワクチンを緊急使用のリストに加えました。中国のワクチンがリストに加えられるのは2例目です。

WHOは1日、中国の製薬会社シノバックが開発した新型コロナウイルスのワクチンを緊急使用のリストに加えたと発表しました。

これによりシノバックのワクチンはWHOなどが主導する国際的な分配の枠組み「COVAXファシリティ」を通じて各国に供給できることになるほかワクチンの審査体制が整っていない途上国などが自国で緊急使用を承認する際の目安にもなる見通しです。

中国のワクチンがWHOの緊急使用のリストに加えられるのは、先月の中国国有の製薬会社シノファームのワクチンに続いて2例目です。

リストにはこれ以外に、ファイザーとビオンテックのワクチン、アストラゼネカとオックスフォード大学のワクチン、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン、モデルナのワクチンがすでに含まれていて、WHOは有効性と安全性が確認できたワクチンを今後もリストに追加しCOVAXの枠組みで途上国などへの分配を加速させていきたい考えです。

「シノバック」のワクチンとは

今回WHOが緊急使用のリストに新たに加えた中国の製薬会社シノバックの新型コロナウイルスのワクチンはウイルスを加工して毒性をなくした「不活化ワクチン」というタイプのものです。

中国政府は安全性や有効性の基準に達したとして、ことし2月にこのワクチンの中国国内での使用を承認しています。

またWHOに助言する諮問委員会はことし4月、トルコ、チリ、インドネシア、ブラジルでそれぞれ行われた臨床試験で、51%から84%の確率で発症を防いだとするデータを公表しています。

また接種した場合接種した部分への痛みのほか、頭痛、けん怠感などの副反応が起きることがあるもののほとんどが軽度から中等度だとしています。

シノバックのワクチンは2度から8度で保管できるため、輸送や管理も容易で途上国も導入しやすいことが利点だとされています。

シノバックによりますと、先月末時点で中国を含むおよそ40の国と地域に合わせて6億回分のワクチンを供給しているということです。