“格差と貧困広がる” 全労連 最低賃金大幅引き上げ訴え

今年度の最低賃金をめぐって厚生労働省の審議会で議論が始まるのを前に労働団体の「全労連」が会見し、「最低賃金が低くコロナ禍で格差と貧困が広がる要因となっている」として大幅な引き上げが必要だと訴えました。

最低賃金は企業が従業員に最低限支払わなければならない賃金で、現在、全国平均で時給902円となっていて、政府は、時給1000円を早期に達成するという目標を示しています。

今年度の最低賃金をめぐって労使が参加する厚生労働省の審議会で、来月下旬にも議論が始まる予定で、それを前に労働団体の「全労連」が記者会見を開きました。

はじめに小畑雅子議長が「最低賃金が低く働く人の生活の安定につながらないのが実態で、コロナ禍で格差と貧困が広がる要因となっている。安心して暮らせる賃金を保障すべきだ」と述べて、大幅な引き上げが必要だと訴えました。

パートで働く人などでつくる労働組合の担当者は「低い賃金で暮らしを維持していくためには長時間働くしかない。組合員からは『ダブルワークなどを余儀なくされ、子どもとゆっくり過ごせる時間がない』という声が出ている」と述べました。

「全労連」は最低限度の生活を送るために必要な生活費を把握するため、大学の研究者などと連携して、2015年からこれまでに22の都道府県ごとに組合員などへのアンケート調査を行いました。

それによりますと、25歳の独身男性が1人暮らしをするうえで最低限必要な生活費を得るためには、1か月に20日、1日7時間半働くとした場合にそれぞれの都道府県で時給は最低でも1441円から1699円は必要だという結果だったということです。

最低賃金をめぐっては中小企業でつくる経済団体から新型コロナウイルスの影響が続く中、経営がさらに苦しい状況に追い込まれるとして大幅な引き上げは見送り、今の水準を維持するよう求める声が出ています。