英首相の元側近「首相はその職にふさわしくない」コロナ対応で

イギリスのジョンソン首相の元側近が、新型コロナウイルスをめぐる政府の失策によって何万人も亡くなったなどとして、首相はその職にふさわしくないと議会で証言し、波紋が広がっています。

ジョンソン首相の上級顧問を務めていたカミングス氏は26日、イギリス議会下院の委員会で、新型コロナウイルスをめぐる政府の対応などについて証言しました。

この中でカミングス氏は、感染が拡大し始めた去年2月、首相官邸は事態を重く受け止めず、態勢もとらなかったなどとし「市民が私たちを最も必要としていたときに、政府は失敗した」と述べ、謝罪しました。

そして、政府が適切に対応しなかったことで、死ぬ必要のない人が何万人も亡くなったなどとし「首相はその職にふさわしくない」と手厳しく批判しました。

イギリスでは、これまでに新型コロナに感染して亡くなった人が12万7000人を超えています。

ジョンソン首相は26日、野党の追及に対し「国民の命を守るため、どの段階においても、科学的な根拠に基づいて行動した」などと反論しました。

カミングス氏は、イギリスのEU離脱をめぐる国民投票で離脱派の戦略立案を担い、政権でも重要な役割を果たしていましたが首相との確執も伝えられ、去年秋、辞任しました。

イギリスメディアは今回の証言について、カミングス氏による報復だとする一方、政権の中枢にいた人物による証言は無視できないと伝えるなど、波紋が広がっています。