厚労省の専門家会合 「予断を許さない状況」 新型コロナ

緊急事態宣言の期限が来週に迫る中、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染状況について今月中旬以降減少に転じている一方で、依然として増加傾向となっている地域があり「予断を許さない状況が続いている」と指摘しました。感染力の強い変異ウイルスに置き換わる中で各地で人出の増加が見られるとして、引き続き注視する必要があるとしています。

専門家会合では
▽緊急事態宣言の期限が迫る東京や大阪などの感染や医療体制の状況や
▽急速な感染拡大が続く沖縄県や北海道の状況などについて
分析が行われました。

この中で、専門家会合は全国の感染状況について今月中旬以降に減少に転じていて、増加傾向が続いていた重症者や亡くなる人の数は高止まりになっていると評価しました。

一方で、依然として増加傾向が続く地域があり、感染力の高い変異ウイルスに置き換わり感染の減少までにかかる期間がこれまでより長くなっていること、さらに各地で人出が再び増加し始めていることから「予断を許さない状況が続いている」と指摘しました。

緊急事態宣言が出ている地域のうち大阪府や兵庫県、京都府では、感染者の減少傾向が続くことが見込まれるものの、感染状況の改善によって繁華街などの人出が増加することに注意が必要だと分析しています。

医療体制については大阪府と兵庫県を中心に、まだ一般医療を制限せざるをえない厳しい状況が続いているとしています。

首都圏の東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県では横ばいから減少傾向になっている一方で、特に東京では昼間も夜間も人出が増加しておりこのまま増加傾向が続くと感染の再拡大=リバウンドにつながる可能性があり、警戒が必要だとしています。

緊急事態宣言が出されてから1週間余りたった北海道では、病院や福祉施設でのクラスターが継続して発生するなど感染者数の増加傾向が非常に高い水準で続いていて、今後も増加が続く可能性があるとしています。

今月23日に緊急事態宣言が出された沖縄県では、那覇市をはじめとした都市部などで20代から30代を中心に感染者数の急増が続き病床使用率も上昇していて、医療体制への負荷がさらに増大することが予想されるとしています。

今後、高齢者に感染が波及することで重症者の増加も懸念されるうえ人出の減少も小さく、感染者数の増加が継続することが予想されるとしています。

専門家会合は緊急事態宣言が出された地域について感染が減少の動きが見られる地域があり、効果が現れているとする一方で感染力の強いイギリスで見つかった変異ウイルスやインドで広がる変異ウイルスによって感染拡大が早く進む可能性を考えて、自治体で必要な対策をタイムリーにとることが求められると指摘しました。

また、インドで広がる変異ウイルスについて日本国内で渡航歴のない人から感染が確認されるケースが出てきているとして、感染経路を調べるなどして国内での感染拡大を可能なかぎり抑えるとともに、これまでの水際対策を検証し今後も国外や検疫での状況を踏まえ、迅速に強化することが必要だとしています。