東京五輪開催で感染者数どう変化? 東大グループ試算

東京五輪の開催による新型コロナウイルスの感染拡大への影響について東京大学の経済学者のグループがシミュレーションを行い、大会終了後に都内の感染者を増やさないためには大会期間中に人出が増えるのを極力、抑える必要があるとする結果をまとめました。

このシミュレーションは東京大学大学院経済学研究科の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師のグループが今月16日までのデータをもとに行ったものです。

グループでは現在出ている緊急事態宣言が6月中旬まで延長され、国内のワクチンの接種は1日に60万本のペースで進むと仮定しました。

また、大会期間中、海外から選手や関係者など10万5000人が入国し、このうち半数がワクチンの接種を終えていると想定しました。
その結果、海外からの選手や関係者などが直接の原因となって増える都内の1日の感染者の数は平均で15人程度にとどまるという結果となりました。

一方で、大会期間中に、応援に出かけたり経済活動が活発になったりして人流が6%増えたとすると、10月の第2週には1日の感染者の数は1601人となり、五輪が行われなかった場合と比べて、781人増えるという結果になりました。

グループでは当初、NHKの取材に対し、人流が10%増えた場合のシミュレーション結果を示していましたが、その後の検討でより妥当なシミュレーション結果として6%増えた場合に修正しました。

また、人流が2%増えた場合は10月に1日の感染者数が224人増加するという計算になったということです。

今回の試算では、感染力が高いとされるインドで確認された変異ウイルスの影響は含んでいないということです。
仲田准教授は「五輪を開催するのではれば人流を徹底的に抑える対策が非常に重要だ。それに失敗すると感染が急拡大して、再度の緊急事態宣言にもつながりかねず、中長期的観点から経済にとってもよくない」と話しています。