沖縄県に「緊急事態宣言」 23日から来月20日まで 政府が決定

新型コロナウイルス対策で、政府は、緊急事態宣言の対象地域に沖縄県を追加することを決定しました。これにより、宣言の対象地域は10都道府県に拡大されることになります。

政府は、午後6時から、総理大臣官邸で、新型コロナウイルス対策本部を開き、菅総理大臣をはじめ、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らが出席しました。

そして、9都道府県に出している緊急事態宣言について、23日から6月20日までの期間、まん延防止等重点措置を適用している沖縄県を追加することを決定しました。
また、重点措置を適用している10県のうち、愛媛県は、感染状況が改善しているとして、5月31日までとしていた期限を前倒しして、22日をもって対象から外すことも決めました。

菅総理大臣は「全国の新規感染者数は上げ止まりの状況となっているが、地域によって感染状況に大きな差が見られる状況にあり、引き続き、高い緊張感を持って対策を進める必要がある」と指摘しました。

そのうえで、沖縄県では、4月12日から重点措置を適用したものの、若い世代を中心に新規感染者が急増し、病床がひっ迫した状況が続いているとして、宣言の対象地域に追加すると説明し、沖縄県をはじめ各自治体では、飲食店での酒やカラオケの提供の停止など、対策を徹底するよう求めました。

一方、菅総理大臣は「感染対策の切り札となるワクチン接種は、自治体や医療関係者の協力が進み、全国の大多数の市町村において7月末までに高齢者の接種を終える予定となった。1日も早く、若い方も含め、多くの国民に接種を行うことができるよう、あらゆる手だてを講じていく」と述べました。
これにより、▽宣言の対象地域は、北海道、東京、愛知、大阪、兵庫、京都、岡山、広島、福岡、沖縄の10都道府県に、▽重点措置の適用地域は、群馬、埼玉、千葉、神奈川、石川、岐阜、三重、熊本の8県となります。

宣言の対象地域の追加が決まるのは3週連続となります。

菅首相 9都道府県の宣言への対応「月末にも判断」

政府の新型コロナウイルス対策本部で、緊急事態宣言の対象地域に沖縄県を追加することを決定したあと菅総理大臣は、総理大臣官邸で、記者団の取材に応じました。

この中で菅総理大臣は「沖縄県では、若い世代を中心に感染が急増している。そういう中で、病床がひっ迫している状況が続いており、宣言を出させていただいた。飲食店の酒の提供の禁止など、対策の効果を見極める必要があるので来月20日までとさせていただいた」と理由を説明しました。

また、今月31日が期限となる東京や大阪など9都道府県の宣言への対応について「まず感染拡大阻止のために全力で対策を講じることが極めて重要だ。そして、感染状況を見極めて、月末にも判断することになるだろう」と述べました。

そして菅総理大臣は、東京オリンピック・パラリンピックについて「きょうも東京都の小池知事と、感染拡大防止にまず全力を尽くし、安全・安心な大会にすべく、引き続き協力していこうと話をした。感染拡大を防止し、国民の命と暮らしを守ることを最優先にすべきであるのは当然だ。選手や関係者の感染防止措置に万全を尽くし安全、安心な大会にしていきたい」と述べました。

一方、今回宣言の対象地域の追加で、記者会見を行わなかったことについて「説明については、適時適切に対応させていただいている。きょうも皆さんの要望に応えて、説明をさせていただいており、これからも丁寧に発信していきたい」と述べました。

「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の経緯

3回目となる今回の緊急事態宣言は、大型連休にあわせて、短期間に集中的な対策を講じるとして、当初、4月25日から今月11日までの期間、▽東京、▽大阪、▽兵庫、▽京都の4都府県を対象に出されました。

しかし、感染状況は改善せず、4都府県の宣言は、5月31日まで延長され、▽愛知、▽福岡の2県が対象地域に加わりました。

さらに、5月16日からは、▽北海道、▽岡山、▽広島の3道県も追加され、期間は、いずれも5月31日までとなっています。

これに、23日から6月20日までの期間、沖縄県が追加されることになり、宣言の対象地域は10都道府県に拡大されることになります。

一方、まん延防止等重点措置は、4月5日以降、これまでに17の都道府県に適用されました。

このうち、◇北海道、◇東京、◇愛知、◇大阪、◇兵庫、◇京都の6都道府県が緊急事態宣言に移行し、◇宮城県は解除されました。

また、◇22日をもって、愛媛県が解除され、◇23日から沖縄県が宣言に移行すると、重点措置の適用は、◇群馬、◇埼玉、◇千葉、◇神奈川、◇石川、◇岐阜、◇三重、◇熊本の8県となります。

期間は、◇埼玉、千葉、神奈川、岐阜、三重の5県が5月31日まで、◇群馬、石川、熊本の3県は6月13日までとなっています。

沖縄県 「対処方針」決定

沖縄県の玉城知事は政府の緊急事態宣言の対象地域への追加を受けて、県として決定した対処方針を公表しました。

帰省を含めて、沖縄県への訪問について自粛を求めるほか、県内全域の酒類を提供する飲食店などに対し、休業要請を行うことなどを盛り込んでいます。

沖縄県の玉城知事は、今夜7時半すぎから記者会見し、政府の緊急事態宣言の対象地域への追加を受けて、23日から来月20日までの宣言の期間中、県民や事業者などに要請する県の対処方針を公表しました。

それによりますと、県民や県内に滞在している人には、日中も含めた不要不急の外出の自粛を求め、夜8時以降の外出は特に控えるよう求めます。

また、県外にいる人には、帰省を含めて沖縄県への訪問を自粛するよう求めています。

そして、飲食店については県内全域で、酒類を提供する店やカラオケ設備のある店には休業を、酒類を提供しない店には夜8時までの営業時間の短縮を要請します。

飲食店以外の施設でもショッピングセンター、大規模小売店、百貨店などの商業施設には、食料品や衣料品売り場を除いて夜8時までの営業時間の短縮を要請します。

このほか、学校への対応については、運動会、体育祭、それに修学旅行などの学校行事は延期または縮小を、部活動は原則休止するよう要請します。

玉城知事は、記者会見で「これ以上の感染拡大の抑止に向けて人と人との接触機会を徹底的に減らす対策をとる。県民などには重ねて我慢をお願いすることになるが、現状の厳しい医療体制を考えると、県民の安全安心な暮らしを守るためにはやむを得ず、期間内に強く踏み込んだ対策を講じて感染を抑えることが重要だ」と述べ、感染対策に全力をあげる考えを示しました。

生保各社 保険料の払い込み猶予 沖縄県に適用

緊急事態宣言の対象地域に沖縄県が追加されることを受けて生命保険各社は保険料の払い込みを猶予する対応を沖縄県にも適用します。

生命保険協会は緊急事態宣言が出された地域では契約者から申し出があれば保険料の払い込みを猶予する期間を最長で6か月間、延長するとともに、一部の書類がなくても保険金や給付金などの請求を受け付ける対応をとっています。

今回の決定を受けて、対象地域は北海道、東京、愛知、大阪、兵庫、京都、岡山、広島、福岡に沖縄も加えた10都道府県となります。

生命保険協会では、詳細については保険会社に問い合わせて欲しいとしています。