モデルナとアストラゼネカのワクチン 正式承認 厚労省

欧米の製薬会社、モデルナとアストラゼネカの新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は、21日、正式に承認したと発表しました。このうちモデルナのワクチンは、来週24日に開設される大規模接種センターなどでの使用が予定されています。

厚生労働省の専門家部会は、20日、▽アメリカのモデルナのワクチンと、▽イギリスのアストラゼネカがオックスフォード大学と共同で開発したワクチンについて、有効性が認められるなどとして、いずれも承認することを了承しました。

これを受けて、厚生労働省は、21日午後、有効性や安全性が確認されたとして、2種類のワクチンを正式に承認したと発表しました。

承認を受けて、政府は、複数のワクチンによって接種を加速化させたい考えで、モデルナのワクチンについては、来週24日に開設される大規模接種センターなどでの使用が予定されています。

アストラゼネカは当面、公的接種に使用しない方針

厚生労働省は21日の分科会で、モデルナのワクチンについて、新型コロナウイルスのワクチンとして予防接種法の対象に位置づけ、公的な予防接種に使用する案を示しました。

▽18歳未満に接種しないことが条件で、▽発熱している人や、ワクチンの成分で過去にアナフィラキシーを起こした人などには原則、接種できないとしています。

今月24日に東京と大阪に開設される政府の大規模な接種会場のほか、一部の自治体の接種会場でも使用される予定だということです。

また、アストラゼネカのワクチンについては、有効性が認められる一方で、接種後、極めてまれに血栓が生じるリスクがあると指摘されていることから、現時点で予防接種法の対象にせず、当面、公的な接種には使わない方針を示しました。

諸外国の状況を見ながら接種を推奨する年齢などを慎重に検討し、治療方法についても検証して周知していくということです。

分科会では、委員の了承が得られた一方、アストラゼネカのワクチンについて、「効果が確認できる以上、選択肢から排除するべきではない」といった意見が聞かれ、判断できる状況が整いしだい、推奨年齢などを速やかに検討する方針を確認しました。

モデルナ アストラゼネカ ワクチンの効果は?副反応は?

モデルナ 「治験の参加者に感謝」

アメリカの製薬会社モデルナは、「私たちの製品が日本で初めて薬事承認された。モデルナの歴史にとって重要な瞬間だ。私たちのワクチンによって日本人を新型コロナウイルスから守ることに協力してくれた厚生労働省と治験の参加者に感謝する」などとコメントしています。

アストラゼネカ 「収束に向けた一助に」

アストラゼネカは「私たちのワクチンの承認が日本での新型コロナウイルスの収束に向けた一助になることを願っている。ワクチンの安定供給に向け、すでに生産を進めている」などとするコメントを発表しました。

数週間以内に日本でワクチンの出荷を開始する予定だということです。

国内治験データ 厚労省が公表

モデルナとアストラゼネカのワクチンについて、厚生労働省は、国内で行われた治験のデータを公表しました。

このうちモデルナのワクチンの治験は、20歳以上の日本人200人を対象に行われ、ウイルスの働きを抑える「中和抗体」の増加が海外の治験と同じ程度に確認されたということです。

副反応の疑いがある症状は2回目の接種後のほうが多く、
▽注射した場所の痛みが接種をした人の85%に、
▽疲労が63%、
▽悪寒と筋肉痛がそれぞれ50%、
▽頭痛が48%、
▽発熱が40%の人に確認されました。

ほとんどは軽症か中等症で重篤な症状はなく、発熱の頻度が海外の治験に比べて高かったものの、全体としては大きな差が見られなかったということです。

また、アストラゼネカのワクチンの治験は18歳以上の日本人256人を対象に行われ、海外の治験の結果と大きな差はなく、中和抗体の増加が見られたということです。

副反応が疑われる症状は1回目の接種後のほうが多く、
▽注射した場所の痛みが52%の人に、
▽筋肉痛とけん怠感はそれぞれ35%、
▽疲労が28%、
▽頭痛が25%、
▽悪寒が20%、
▽発熱が10%の人に確認されました。

ほとんどは軽症か中等症で、重篤な症状はなかったということです。

国内外の治験のデータを踏まえ、添付文書ではモデルナとアストラゼネカのワクチンについて、
▽明らかな発熱がある人、
▽重篤な急性疾患にかかっている人、
▽ワクチンの成分で重度の過敏症を起こしたことがある人などは接種を避けるよう記載されました。

また、アストラゼネカのワクチンについては、血小板の減少を伴う血栓症になったことがある人も接種を避けるよう求めています。