専門家「東京はインドの変異ウイルス拡大防止対策がポイント」

現在の東京の感染状況や医療の状況について、新型コロナウイルスの重症患者の治療を行ってきた医師は、入院患者数は横ばいではあるものの、すぐにリバウンドして医療のひっ迫につながるおそれがあるとしています。そのうえで、今後は感染力が強いおそれがあるインドで広がる変異ウイルスの感染拡大を防ぐことが対策のポイントになると指摘しています。

国立国際医療研究センターの忽那賢志医師によりますと、新たに入院する患者は、ここ2週間ほどは1日に平均2人から3人ほどで、急激に増加はしていないものの、患者が退院しても、すぐに入院する人が入り、横ばいの状態だということです。

一方で、およそ40人の入院患者のうち、イギリスで見つかった感染力の強い変異ウイルスに感染した人は8割に上るということです。

忽那医師は、現在の状況について、東京ではまだ感染状況が十分改善していないとしたうえで「前回、東京都よりも早く緊急事態宣言を解除した大阪府は、すぐに人の流れが増え、変異ウイルスが広がって危機的な状況に陥った。早く解除すると、すぐに急増すると考えられ、今回は感染者数を十分下げてから宣言を解除するかどうか見極めることが特に重要だ」と話しています。

さらに、インドで広がる変異ウイルスが、イギリスで見つかった変異ウイルスより最大で50%程度、感染力が強いというイギリスでの試算があるとして、今後は、この変異ウイルスの拡大を防ぐことが対策の大きなポイントになると指摘しています。

忽那医師は「イギリスで見つかった変異ウイルスも、最初は散発的に感染者が見つかり始め、徐々に手がつけられなくなって感染が広がった。今回も同様の状況に陥らないよう、今のうちにできるだけの対策を取っておく必要がある」と話していて、インドで広がる変異ウイルスを早く見つけるスクリーニング検査や監視態勢の強化に加え、感染した人が見つかった場合の感染経路を調べる疫学調査などを徹底する必要があると強調しました。