東京都 高齢者ワクチン 接種の診療所に協力金 1日60回が対象

高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種を7月末までに進めるため、東京都は、かかりつけ医など地域の診療所が接種を行った場合、協力金を支給することになりました。

東京都は、新型コロナウイルスの対策にあてる総額4265億円の補正予算案を発表しました。

このなかでは58億円を計上して、地元の住民の診察にあたるかかりつけ医など地域の診療所の医師が、通常診療にかわってワクチン接種に専念した場合、協力金を支給することになりました。

7月末までに1日60回接種した診療所などが対象で、支給額は1日あたり17万5000円です。

この取り組みで最大200万回接種できる計算となり、これは都内の高齢者のおよそ3分の1の人が2回接種できる回数に相当するということです。

高齢者向けのワクチン接種については、政府が7月末を念頭に終えたいとするなか、都によりますと、都内の3分の1の自治体が7月中には完了できない見通しを示しています。

都は、自治体などが設けた会場での集団接種とは別に、かかりつけ医などによる個別接種の機会を増やし、すべての区市町村で7月末までの接種の完了を目指したいとしています。

このほか、休業要請を行っている1000平方メートル以上の大型商業施設などへの協力金を、規模別の支給に変更することに伴う費用として730億円を盛り込んでいます。

協力金の額は、
▽1000平方メートルあたり1日20万円
▽施設に入るテナントは100平方メートルあたり1日2万円となります。

また、飲食店の休業や時短の影響で売上が減少した取り引き事業者に向けた国の支援金に、都が独自に最大40万円を上乗せする費用として202億円が計上されています。

都は、補正予算案を6月に開かれる都議会に提出することにしています。

小池知事は記者団に対して「高齢者のワクチン接種を7月末までに完了できるように、都が独自に協力金を支払う。打ち手の確保を促進するためにクリニックなどの医師にこの事業に参加してもらう」と述べました。

都の「財政調整基金」を610億円取り崩しへ

一方、今回の補正予算案を組むにあたって、都は、貯金にあたる「基金」のうち、使いみちが限定されない「財政調整基金」を610億円取り崩すことにしています。

これにより、新型コロナウイルスの感染拡大前には残高が9000億円余りあった「財政調整基金」は、223億円まで大幅に減少する見通しです。

小池知事は記者団に対して「いま東京に必要なこと、都民が何を求めているかを踏まえ、都独自の支援を具体化することを優先させた」と述べました。

そのうえで「厳しい財政状況となるが、6月には決算も確定するので、歳入と歳出の両面からさまざまな工夫をしながら、必要な対策を講じていきたい」と述べました。