民間救急サービスに新型コロナ患者搬送の依頼相次ぐ

新型コロナウイルスの患者を病院に搬送する業務を担う、民間の会社には、保健所などからの搬送の依頼が相次ぎ、3月は1日に3件程度でしたが、今月は10件以上に急増しています。これまでは患者は高齢者が多かったものの、今は若い世代が増えているうえ、重症化が早いケースもあり、迅速な搬送を進めたいとしています。

東京 日野市にある「民間救急フィール」は、大規模な感染が起きたクルーズ船での対応のあと、1年にわたって保健所などからの依頼で、コロナ患者の搬送を行っています。

患者の搬送は、3月は1日に2、3件ほどでしたが、先月下旬から増え始め、今は10件以上の日もあるということです。

これまでは高齢で基礎疾患のある患者が7割以上を占めていましたが、今月は5割程度になり、一方で30代以下の若い世代がおよそ4割を占めるなど、若年齢化がみられるということです。

取材に同行した11日は、60代の男性だけでなく、同居中の女性とともに感染した20代の男性も搬送していました。

ドライバーは、搬送のたびに車内や患者が触れる可能性のあるドア付近などを消毒し、防護服も着替えるなど感染対策を徹底していました。

中には、受け入れ先の病院が見つからず、自宅から離れた病院まで1時間以上かけて搬送するケースもあるほか、要請が相次ぐ中で、搬送を断らざるをえないこともあるということです。

11日に搬送した50代の男性は、39度台の高熱を訴える中、自宅から1時間ほどの場所にある病院に搬送していました。

齊藤学代表は「第4波に入って搬送が増えていて、患者は0歳の赤ちゃんからお年寄りまでいるが、最近は20代や30代など若くても重症化する方がみられる。変異ウイルスの影響なのか、重症化のスピードも早いケースもあり、しっかり対応したい」と話していました。

患者若年化 長距離搬送も

取材に同行した11日は、朝から夕方にかけて搬送の依頼が相次ぎました。

午前10時ごろ、最初に搬送したのは、多摩地区に住む60代の男性で、同居している子どもとともに家庭内で感染したということです。

熱は上がったり下がったりを繰り返し、糖尿病の基礎疾患があるため、入院することになったということです。

男性は担当者とのやり取りの中で「糖尿病があるから不安だ。まさか自分が感染するとは思いもしなかった」などと話していました。

患者はこれまでは高齢者が多かったものの、今は若い世代の患者も増えているということです。

11日午後2時すぎに搬送したのは、20代の男性でした。

10日から11日の朝にかけて、39度台の高い熱が続いたということです。

同居している女性とともに感染し、女性は症状が落ち着いたため、ホテルでの療養となりましたが、男性は熱が下がらず、入院することになったということです。

男性は「ずっと熱が下がらなくて、39度くらいで、せきも止まらないから、入院するよう保健所の方に言われた。どこにも出かけていないので、どこで感染したのか分からない」と担当者の問いかけに答えていました。

また、受け入れ先の病院がなかなか見つからず、自宅から離れた病院まで1時間以上かけて搬送するケースもあるということです。

午後3時ごろに対応した50代の男性は、1時間ほど離れた場所にある病院に搬送されていました。

男性は39度台の高い熱があるほか、搬送中も激しくせき込み、息苦しさを訴えていました。

男性は「最初はこんなにひどくなかったが、今は苦しい、本当に苦しい。肺があまり広がらない感じで、ぜんそくのような感じで苦しい」と、症状を訴えていました。

「民間救急フィール」の齊藤学代表は「搬送先の病院まで1時間半ほどかけて移動することもある。近隣の病院がいっぱいで、受け入れられないとみられる状況も出ていて、医療機関がひっ迫し始めているのかなと思う」と話していました。