変異ウイルスにワクチンは効くの?

国内で接種が進む新型コロナのワクチンは変異ウイルスにどこまで有効なのか。
横浜市立大学の研究グループがワクチンを2回接種した100人余りについて分析したところ、およそ9割の人は変異株に対して効果が期待できる抗体が体内に作られていたという研究結果をまとめました。

新型コロナウイルスは次々と変異を繰り返し、ワクチンが効きにくくなる可能性が指摘されている変異ウイルスも出てきています。

このため、横浜市立大学の研究グループは、国内で接種されているワクチン(ファイザー製)が変異ウイルスにどこまで有効なのかを調べる研究を実施しました。

ことし3月から4月にかけてワクチンを2回接種した医療従事者105人を対象に、血液を採取して、変異ウイルスへの感染を防ぐ働きのある「中和抗体」が、どこまで作られているかを調べました。

分析の結果、全体の89%の人はイギリスや南アフリカ、それにブラジルなどで合わせて合わせて7つの変異ウイルスすべてについて、効果が期待できる量の中和抗体が、体内に作られていたことがわかりました。

1回目2割未満の変異株も→2回接種で9割以上の効果に

変異ウイルス別に見るとイギリス株は94%、南アフリカ株は90%、ブラジル株は94%、インド株は97%、カリフォルニア株は97%、ニューヨーク株は98%、東京などで見つかったE484Kという変異のある由来不明株は97%の人に効果が期待できる量の中和抗体が確認されたということです。
従来株は99%の人で確認されました。

一方で、1回目の接種後では、イギリス株は18%、南アフリカ株は21%、ブラジル株は16%、インド株は37%、カリフォルニア株は39%、ニューヨーク株は55%、由来不明株は34%の人にとどまったということです。
従来株は57%でした。
研究グループのメンバーで横浜市立大学医学部の山中竹春教授は「ワクチンは2回接種すれば現在出てきている変異ウイルスに対しても中和抗体による免疫を期待できる結果となった。ただ、全員に中和抗体ができるわけではなく、個人差もある。今後さらに対象者を広げてデータを蓄積していきたい」と話しています。