巨額赤字の国内航空大手 業績回復へ LCC強化など戦略転換急ぐ

国内の航空大手2社の昨年度の決算は、新型コロナウイルスの影響で巨額の赤字となりました。両社は感染の収束後に業績を早期に回復させるため、LCC=格安航空会社や貨物の事業を強化するなど、経営戦略の転換を急いでいます。

航空大手2社が7日までに発表した、ことし3月期のグループ全体の決算によりますと、最終的な損益は日本航空が経営破綻後に株式を再上場した2012年以降では初めて2866億円の赤字となり、ANAホールディングスは過去最大の4046億円の赤字となりました。

緊急事態宣言が延長されるなど厳しい経営環境が続く中、両社は大型機を中心に旅客機の数を減らしたり、社員を外部に出向させたりしてコスト削減を進めています。

さらに今後、感染が収束したあともリモートワークの定着で主力のビジネス需要がコロナ前の水準に回復することは難しいとみて戦略の見直しを進めています。

具体的には、観光での利用が多いLCC=格安航空会社の事業を強化するため、日本航空は中国のLCCの日本法人の「春秋航空日本」を来月、子会社化することを決めました。

また、ANAホールディングスも子会社の「ピーチ・アビエーション」とは別に東南アジアなどを結ぶ中距離路線で、新しいLCCのブランドを立ち上げる方針です。

このほか、両社は需要が伸びている貨物事業や、地方自治体と連携した新たな特産品や旅行商品の開発など、感染の収束後に業績を早期に回復させるため、戦略の転換を急いでいます。