コロナ新規感染者 横ばいから減少傾向も 23道県は前週より増加

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、大型連休で検査数が減ったことが影響している可能性はありますが、全国的には横ばいから減少に向かう傾向が見え始めています。一方で、23の道と県では前の週より増加しています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国では3月上旬まで1日当たりの新規感染者数は平均すると1000人前後でしたが、その後感染が拡大し、先月22日までの1週間では前の週と比べて1.28倍でした。

緊急事態宣言の期間に入った先月29日は1.12倍と感染拡大のペースが下がり、6日までの1週間では0.95倍と横ばいから減少の傾向となっていますが、1日当たりの新規感染者数はおよそ4800人と多い状態が続いています。

ただ、6日までの感染者数は、大型連休で医療機関が休診し、検査数が減っていることが影響している可能性があります。

しかし、全国23の道と県では前の週より新規感染者数が増えていて、感染拡大のペースは9つの県で前の週より上がっています。

緊急事態宣言の地域では

新規感染者数が最も多い大阪府では3月中旬以降、感染拡大の傾向が顕著となりましたが、先月初めに「まん延防止等重点措置」が適用されたあとは感染拡大のスピードが下がり、先月22日までの1週間では前の週の1.16倍、緊急事態宣言の期間に入った先月29日は1.00倍、6日まででは0.82倍と減少に向かう傾向が見られ、1日当たりおよそ930人となっています。
兵庫県も重点措置が適用されたあとは感染拡大のスピードが徐々に下がり、先月22日までの1週間では前の週の1.34倍、緊急事態宣言の期間に入った先月29日は1.10倍、6日まででは0.74倍と減少に向かい始め、1日当たりではおよそ380人となっています。
京都府でも先月22日の1週間では前の週の1.36倍、緊急事態宣言の期間に入った先月29日は1.18倍と感染拡大のスピードが徐々に下がり、6日まででは0.94倍で1日当たりではおよそ130人となっています。
東京都は3月下旬ごろから新規感染者数が増え始め、重点措置が適用されたあとも感染拡大のスピードは少しずつ速まり、先月22日の1週間は前の週の1.31倍でした。

その後、緊急事態宣言の期間に入った先月29日は1.14倍で感染拡大のスピードは下がり始め、6日まででは0.94倍となり、1日当たりではおよそ740人でした。
また、新たに緊急事態宣言が出されることが決まった福岡県は、先月上旬以降、新規感染者数が増加し、先月22日までの1週間は前の週の2.09倍、先月29日は1.80倍、6日まででは1.05倍で1日当たりでは310人余りとなっています。
愛知県は3月下旬から新規感染者数が増え始め、先月22日までの1週間は前の週の1.29倍、先月29日も1.29倍、6日まででは1.02倍とほぼ横ばいで、1日当たりおよそ300人となっています。

まん延防止等重点措置の地域では

「まん延防止等重点措置」が適用されている地域では、首都圏の3県などでは新規感染者数がほぼ横ばいで推移し、宮城県と沖縄県、それに愛媛県では減少しています。

一方、新たに重点措置の適用となる3県のうち、北海道と岐阜県では感染が拡大しています。
神奈川県は3月下旬以降、新規感染者数が増加し、先月22日までの1週間では前の週の1.36倍となりました。その後、先月29日は前の週と同じ1倍、6日まででは1.02倍とほぼ横ばいで、1日当たりではおよそ230人となっています。
埼玉県も先月22日までの1週間では前の週の1.33倍、先月29日は1.07倍、6日まででは0.99倍とほぼ横ばいで、1日当たりではおよそ200人となっています。
千葉県は先月22日までの1週間では前の週の1.32倍、先月29日は1.03倍、6日まででも1.03倍とほぼ横ばいで、1日当たりではおよそ140人となっています。
沖縄県は先月22日までの1週間では前の週の0.93倍、先月29日は0.73倍、6日まででは前の週の0.77倍と減少していて、1日当たりではおよそ60人となっています。
愛媛県は先月22日までの1週間では前の週の1.35倍、先月29日は0.89倍、6日まででは0.59倍と減少し、1日当たりではおよそ20人となっています。
重点措置から外れることが決まった宮城県は、3月下旬には1日当たりの感染者数がおよそ140人でしたが、先月22日までの1週間では前の週の0.70倍、先月29日は0.53倍と減少し、6日まででは1.03倍で1日当たりでは30人となっています。

新たに重点措置適用の地域は拡大傾向

新たに重点措置が適用される北海道は、先月22日までの1週間では前の週の1.36倍、先月29日は1.49倍、6日まででは1.35倍と拡大が続いていて、1日当たりではおよそ220人となっています。
また、岐阜県は先月22日までの1週間は前の週の1.52倍、先月29日は1.4倍、6日まででは1.24倍と拡大が続いていて、1日当たりではおよそ60人となっています。
三重県は先月22日までの1週間では前の週の1.59倍、先月29日は1.38倍と拡大の方向でしたが、6日まででは0.77倍となっていて、1日当たりではおよそ40人となっています。

専門家「宣言の効果 評価できるのは来週以降」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の状況について「大阪府では入院したくてもできない人が自宅などで重症化する例も増えている。東京都でも1日の感染者数が500人を超える日が続き、確実に医療現場の負担は増えていて、変異ウイルスの拡大も相まって厳しい状態が続いている。全国の感染者数も連日4000人を超えていて、重症者数は残念ながらこれからも増えると考えられるので、感染者数を減らすことがとにかくいちばん大事だ」と話しています。

そして、緊急事態宣言について「宣言が出されてから2週間がたとうとしているが、感染者数が十分に減少する効果が見られていないのが現実だ。期間中に連休もあって検査数が抑えられたこともあり、効果を正確に評価できるのは来週以降で、感染者数が減っていくか横ばいなのか、しっかり見ていかないといけない。効果が見られなければさらに強い対策を考えなければいけない」と話しています。

また、緊急事態宣言の延長に伴い、大型商業施設に対しては休業要請ではなく時短営業とした政府の方針について「感染者数の減少などの効果が出てきた地域に限って、政府と都道府県が協議して段階的に緩和するという考え方だと理解している。政府は宣言が延長される5月12日に、一律に緩和する方向性ではないということをしっかりと説明していかないといけない」と指摘しました。