大阪府 緊急事態宣言の延長を国に要請

大阪府は来週11日に期限となる緊急事態宣言について、府内での感染拡大が収まらず、医療提供体制も危機的な状況が続いていることから6日、国に対し、宣言の延長を要請しました。

大阪、兵庫、京都、東京の4都府県に出されている緊急事態宣言の期限が来週11日に迫る中、大阪府は、6日午後、新型コロナの対策本部会議を開きました。

この中で吉村知事は「新規の感染者数の高止まりという非常に厳しい状況や、医療提供体制も極限の状況にあることを考えたとき、緊急事態宣言の延長の要請をお願いせざるをえない」と述べました。
また、府内では、7日間ごとの新規の陽性者が、5日までの直近の1週間では、前の週と比べて減少しているものの、依然、高い水準で推移していることや、すぐに入院できる病床の数と、それがどれだけ埋まっているかを示す「病床運用率」が5日、重症患者用の病床で初めて100%を超えるなど、危機的な状況が続いていることが報告されました。

そして、会議では感染拡大を食い止めて、医療の危機を脱するためには、引き続き、人流抑制などの強い措置を講じる必要があるとして、国に緊急事態宣言の延長を要請することを決めました。

これを受けて、大阪府は6日夕方、国に対し宣言の延長を正式に要請しました。

“第3波”の3倍以上の速さで重症者数が増加

6日に行われた大阪府の対策本部会議で、ことし3月末からの感染急拡大の局面「第4波」では、去年10月末ころからの「第3波」と比べて、重症者数が3倍以上の速さで増えていたとの分析が示されました。

それによりますと、感染者数が増加傾向となった去年10月からの「第3波」での重症者数は、
▽16人だった10月19日の段階から徐々に増え、
▽およそ40日後の11月30日には100人余り増加して、124人となりました。

さらに、
▽10月19日から、およそ3か月後の1月15日には171人増えて、187人となっていました。

◇同じ規模での重症者の増加を、ことし3月末からの「第4波」と比較すると、
▽3月20日の段階で55人だった重症者数は、
▽わずか18日後の4月7日には、およそ100人増加して、158人となり、
▽3月20日から24日後の4月13日には178人増加して、233人となっていました。

◇重症者数がおよそ100人増加するまでの日数は、
▽「第3波」では、およそ40日だったのに対し、
▽「第4波」では、18日と半分以下の日数だったことがわかり、
重症者数は、およそ2倍の速さで増えていたことがわかります。

さらに、
◇重症者数が170人前後にまで増える速さは、
▽「第3波」ではおよそ3か月だったのに対し、
▽「第4波」では24日と、3倍以上の速さでした。

重症患者 “今月末400人超に”

また、6日に行われた大阪府の対策本部会議では、今後の患者数のシミュレーションの結果が報告されました。

このうち、重症患者のシミュレーションでは新規感染者に占める60代以上の割合が25%と想定して分析すると、今月12日に重症者の数が455人とピークとなり、その後、今月末ごろまでは400人を超える高止まりの状況が続き、6月21日の時点でも218人になるとしています。

また、自宅療養や宿泊療養をしている人の数は、今月中旬ごろまで2万人近い状態が続き、今月末の時点でも、およそ1万6000人にのぼるとしています。

焼き鳥店「納得できない」

大阪府が緊急事態宣言の延長の要請を決めたことについて、大阪 ミナミの焼き鳥店は経営状況のさらなる悪化を懸念しています。

道頓堀近くにある焼き鳥店「味鳥」は、緊急事態宣言に伴う大阪府の要請に応じ、先月25日から酒類を提供せず夜8時までの時短営業を行っています。

アクリル板の設置や消毒などの感染対策を徹底したうえで、ノンアルコールの飲み放題を新たに始めるなど、制約がある中でも工夫して営業を続けています。

ただ、今回の緊急事態宣言では酒類の提供ができなくなったことで、客が1人も来ない日もあるということです。

店では、これまでも府の時短要請などには応じ続けてきたということですが、先月の売り上げは例年の3割ほどに落ち込んでいるということで、宣言の延長による経営状況のさらなる悪化に懸念を強めています。

店長の糸川卓児さんは「ただ延長と言われても、どうしたらいいのか分からず私たち商売人にとっては納得できません。私たちは日々の暮らしで命をかけているので、国や府にはそういうつもりで対策を講じてほしいです」と話していました。