感染拡大が「女性に深刻な影響」 政府の有識者研究会が報告書

新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、政府の有識者研究会は、自殺の増加や雇用の減少など、特に女性に深刻な影響が出ているとする報告書をまとめました。

新型コロナウイルスの感染拡大による女性への影響を検証するため、去年9月に設けられた政府の有識者研究会は報告書をまとめ、28日、座長を務める東京大学大学院の白波瀬佐和子教授が丸川女性活躍担当大臣に手渡しました。

報告書では、女性への影響が特に深刻だと指摘し、外出自粛によるDV=ドメスティック・バイオレンスの被害の増加などを挙げています。

また、去年自殺した人は、男性が前の年より減った一方、女性は大幅に増えていて、経済的な事情やDV被害、育児の悩みなどが背景にあると分析しています。

さらに、感染拡大による雇用への影響は大きいとして、シングルマザーなどへの支援の強化が必要だとしています。

白波瀬座長は、記者会見で「社会の構造自体にジェンダーの格差があり、その結果、底辺部分の人たちへの影響が極めて深刻となっていて、その多くが女性たちだ。これを機会に社会全体の行動改革をお願いしたい」と述べました。

加藤官房長官 “女性に深刻な影響 実効性ある対策を”

こうした中、政府の男女共同参画会議で加藤官房長官は、新型コロナウイルスの感染拡大が女性の暮らしや命に深刻な影響を及ぼしているとして、6月をめどにまとめる重点方針に実効性のある対策を盛り込むよう関係閣僚に指示しました。

28日の会議では、来年度予算案の編成に向けて、ことし6月をめどにまとめる女性活躍と男女共同参画の重点方針をめぐって意見が交わされました。

有識者からは「シングルマザーをはじめコロナ禍の影響が特に強く出ている人たちへの支援や、配偶者暴力や性犯罪、性暴力の被害者に対する相談支援体制を充実する必要がある」といった指摘が出されました。

これを受けて、加藤官房長官は「感染の拡大は、配偶者による暴力や性暴力の増加と深刻化の懸念に加え、雇用や所得など、女性の暮らしや命に深刻な影響を与えている」と述べ、重点方針に実効性のある対策を盛り込むよう関係閣僚に指示しました。