米 “接種完了した人 屋外ではマスク着けなくてもよい”新指針

アメリカ政府は、新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人は混雑するイベントを除いて、屋外ではマスクを着けなくてもよいとする新たな指針を明らかにしました。バイデン大統領は「接種すればより多くのことをより安全にできる」と述べ、ワクチンを接種するよう呼びかけました。

アメリカのCDC=疾病対策センターは、2回接種することになっているワクチンを2回とも接種するなどアメリカで接種が完了した人が人口の30%近くに達したとして、27日、マスクの着用に関する新たな指針を発表しました。

これまでは接種の有無にかかわらず屋外でもマスクを着け、人との距離を取るべきだとしてきましたが、新たな指針では、接種を完了した人は、接種していない人を含む少人数の屋外の集まりや会食に参加する際はマスクを着ける必要はないとしています。

一方、屋外のライブやパレード、スポーツ観戦など大勢の人が集まるイベントに行く場合はマスクを着用したほうが安全だとしています。

また接種が完了していない人は、接種が完了した人との少人数の集まりなどを除いて、屋外であっても引き続きマスクを着ける必要があるとしています。

CDCのワレンスキー所長は「これまでの研究で新型コロナウイルスの感染は多くの場合、屋内で広がることがわかっている。一般的に接種が完了していれば屋外での活動にマスクは不要だ」としたうえで「この先接種する人の割合が増えて状況が改善すればパンデミックの前のように行動できるようになる」と述べ、ワクチンを接種していない場合は接種が完了するまでマスクの着用を続けるよう求めました。

これについてバイデン大統領はホワイトハウスで演説し「接種を完了したらきょう以降、友人と公園で集まったりピクニックに行ったりする場合マスクを着けなくてよい」と強調しました。

そのうえで「接種すればより多くのことをより安全にできる。これこそが接種すべき大きな理由だ」と述べ、ワクチンを接種するよう重ねて呼びかけました。

アメリカでは接種が完了した人は人口の30%近くになっていますが、州によっては接種をためらう人の割合が高い地域もあり、課題となっています。

バイデン大統領としては、マスクの着用義務の緩和によってワクチンを接種するメリットを強調するとともに、今月29日の政権発足100日を前に感染対策の成果をアピールするねらいもあるとみられます。

新指針 好意的に受け止める声

マスクの着用に関する新たな指針について、首都ワシントンでは好意的な声が相次いで聞かれました。

このうち60代の男性は「すばらしいことです。残念なことに接種をためらう人はまだ多いので、マスクをせずに済むとわかれば、接種を後押しすることにつながると思います」と話していました。

また20代の女性は「人々が気を緩めず、新型コロナウイルスを深刻に受け止め続けるのであればよいことだと思います。経済が再開し、マスクなしで人の顔が見られるようになるといいです」と話していました。