菅首相 高齢者接種「7月末までに2回接種終えるよう取り組む」

菅総理大臣は23日夜、記者会見し「予期せぬ変異を繰り返すウイルスの動きは全く予断を許さない」と述べ、大都市の感染拡大が国全体に広がらないよう、3回目の緊急事態宣言による短期間で集中的な対策強化で感染拡大を抑え込みたいと国民に協力を呼びかけました。

ワクチン接種は希望する高齢者に対し、7月末までを念頭に、2回の接種を終えられるように取り組むとしています。

この中で、菅総理大臣は、変異したウイルスによる感染の急拡大について「このまま手をこまねいていれば、大都市における感染拡大が国全体に広がることが危惧される。予期せぬ変異を繰り返すウイルスの動きは、全く予断を許さないものがある」と指摘しました。

そのうえで、3回目となる緊急事態宣言について「ゴールデンウイークという多くの人々が休みに入る機会を捉え、効果的な対策を短期間で集中して実施することにより、ウイルスの勢いを抑え込む必要があると判断した」と説明しました。

そして「これまで、再び宣言に至らないように全力を尽くすと申し上げてきたが、再び多くの皆様方にご迷惑をおかけすることになる。心からおわびを申し上げる次第だ」と陳謝しました。

また菅総理大臣は大規模施設の休業要請に伴う支援策として、施設の中の店舗を含め、雇用調整助成金に加え、新たな協力金で支援するとしたほか、人出の減少で大幅に売り上げが減少する事業者には新たに一時金を支給することや都道府県による事業者支援を後押しするために、5000億円の臨時交付金を措置することなどを明らかにしました。

そして、支援策に必要な財源はこれまでに措置した予算や5兆円の予備費を活用するとして、補正予算案をあらたに編成する考えはないと説明しました。

一方、ワクチン接種について、菅総理大臣は、接種を希望する高齢者に7月末までを念頭に、各自治体が2回の接種を終えることができるよう取り組む考えを示しました。

また、記者団が「日本は、総理大臣の権限では、コロナの病床数を増やすことができないのか」と質問したのに対し「医療関係者に対しての政府の権限は、要請ベースでしかないのが現実だ。ワクチンも、海外は、アメリカで完成すればそれを使えるが、日本は、国内でも治験をやる仕組みになっている。緊急事態に対応する法律を改正しなければならないと痛切に感じている。平時に、法律を作っておきたい」と述べました。

東京オリンピック・パラリンピックについては「政府としては、東京都、組織委員会、IOC=国際オリンピック委員会としっかり連携を取って、安全、安心の大会にできるように対策をしっかり講じていきたい」と述べました。

そして「厳しい戦いにも、必ず終わりが見えてくると確信している。この危機を乗り越えて、安心できる日常を取り戻すことができるよう、自治体との協力、病床の確保、ワクチンの接種など、内閣総理大臣として、できることはすべて、全力を尽くしてやり抜く」と述べ、国民に協力を呼びかけました。

一方、ことし9月末に任期を迎える自民党総裁選挙について、記者団から立候補する考えはあるかと問われたのに対し「新型コロナの感染拡大を防止することが私の最優先だ。ただ、任期があるということも事実なので、私の総裁としての任期の中でやはり機会をみて、解散・総選挙は考えなければならない」と述べました。