大阪府 救急車内で待機相次ぎ 一時待機所設置 入院まで7時間も

新型コロナウイルスの感染の急拡大で入院先が決まらず、救急車の中で待機を余儀なくされる患者が大阪府内で相次いでいて、府は入院調整の間、酸素吸入などの処置を行う一時待機所を大阪市内に設置しました。

新型コロナウイルスの感染の急拡大で、大阪府内では入院先の医療機関がすぐに決まらない事態が相次ぎ、大阪市内では入院までに7時間以上、救急車の中で待機を余儀なくされるケースも出ています。

救急車の稼働率が下がり、一般の救急にも支障が出始めているとして、大阪府は患者の入院先が決まるまで、一時的に待機してもらう「入院患者待機ステーション」を大阪市内に設置しました。

22日午後2時から運用を開始した施設内には、ベッド8台と酸素吸入用の装置のほか、血液中の酸素の値や心電図を確認できるモニターなどが整えられ、救急搬送が多い正午から午後7時まで稼働させる方針です。

この施設は大阪市内の患者が対象で、大阪府は大阪市以外の患者を対象にした施設の設置も検討するとしています。

大阪府健康医療部の倉橋秀和参事は「搬送先がなかなか見つからず、救急車の稼働率も落ちている。施設を設置することで、自宅療養で亡くなられることを防ぎ、一人でも多くの患者を適切に搬送できるようにしたい」と話しています。

大阪府 今月9人が感染確認後自宅で死亡も

大阪府では、21日の時点で、9051人が自宅療養し、1344人がホテルなどでの宿泊療養となっていて、容体が急変し、救急搬送を要請するケースが相次いでいます。

医療がひっ迫し、入院調整に時間がかかるケースが増えるなど大きな課題となっていて、大阪府内では今月に入ってから9人が感染確認後、自宅で亡くなっています。大阪府は、9人の年齢や性別、それに感染後の症状などを明らかにしていませんが、このうち6人は自宅療養中だったということです。

また、このほかの2人は、「宿泊療養」が必要だと判断されたものの、療養施設に入る前に自宅で死亡したということです。

さらに、ほかの1人は、入院か自宅などでの療養かを判断する前に自宅で亡くなったということです。

神戸では自宅療養中の40代男性が死亡も

神戸市では20日、新型コロナウイルスに感染し、入院調整のため自宅待機中だった40代の1人暮らしの男性が死亡しました。

神戸市は「このような状況でなければ、入院していただいていた方だが今はもっと状態が悪い方でも入院先が見つからない状態だ」と述べ、医療体制のひっ迫に対する危機感を強めています。

神戸市によりますと、男性は今月13日、発熱したために医療機関を受診し、新型コロナウイルスへの感染が確認されました。

市の保健所は毎日電話で男性の健康を確認し、必要に応じて訪問することにしていましたが、男性は、血中の酸素の値が一時86%まで下がり、39度まで発熱したため、15日に病院を受診し、入院が必要だと判断されました。しかし、受け入れ先の病院が見つからず、引き続き自宅での療養を続けていたということです。

その後も電話で体調を確認していましたが、20日午後、保健所が電話をしてもつながらず、午後11時ごろ、自宅で亡くなっているのが確認されたということです。

神戸市の花田裕之健康局長は、記者会見で「亡くなった方が40代ということでわれわれも驚いている。このような状況でなければ、入院していただいていた方だが、今はもっと状態が悪い方でも入院先が見つからない状況だ」と述べ、医療体制のひっ迫に対する危機感を強めています。

そのうえで「若い人もわがこととして感染対策に取り組んでほしい」と呼びかけています。

加藤官房長官「連携し医療提供体制確保」

加藤官房長官は午後の記者会見で「大阪府の医療提供体制は、特に重症者を中心に、大変厳しい状況になっている。国としては、府と連携しながら、病床確保のための緊急支援の延長や、病床確保の国からの直接の働きかけ、看護師派遣の調整などを行っており、引き続き医療提供体制の確保に取り組んでいく」と述べました。