3度目の緊急事態宣言 “これまで以上に強い集中的な対策を”

新型コロナウイルス対策で、政府は、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に、3回目となる緊急事態宣言を出すとともに、新たに愛媛県に「まん延防止等重点措置」を適用する方向で調整しています。
緊急事態宣言のもとでは「休業要請」が可能となります。まもなく迎える大型連休。期間中の人の流れを減らすために、実効性のある対策がどこまで講じられるかが焦点です。西村経済再生担当大臣は「これまで以上に強い集中的な対策が必要」と述べ、不退転の覚悟を示しています。

変異ウイルスの急増など感染状況の悪化をうけて、政府に緊急事態宣言の発出要請をした東京、大阪、兵庫、京都の4都府県。
宣言の期間や休業要請の範囲、営業時間の短縮要請の対象など具体的な措置について、政府との調整を加速させたい考えです。

加藤官房長官は、22日午前の記者会見で、厚生労働省の専門家会合からは、大型連休の機会を捉え、感染を抑える必要があり、特に感染が拡大している地域では人の流れを低下させる具体的な対策に取り組むことが求められていると説明しました。

そのうえで「大切なことは、感染拡大を防止するために、どのように実効性ある対策を講じるかということだ。さまざまな対策が、人流の抑制を通じて、感染リスクの低減につながっていく点を踏まえ、検討しなければならない」と述べ、大型連休の期間中に人の流れを減らすため、実効性のある対策を講じるとして、検討を急ぐ考えを示しました。

東京都

東京都は、23日に政府が緊急事態宣言の発出を決めれば、直ちに具体的な措置を公表したい考えです。
東京都に緊急事態宣言が出された時の措置の案が関係者への取材でわかりました。
▼飲食店については酒を提供する店に対して休業要請を行います。
▼提供しない場合は、午後8時までの時短要請を行います。

▼大型商業施設は床面積の合計が1000平方メートルを超える場合、生活必需品を販売するエリアを除いて休業するよう協力を求めます。

▼イベントについては、社会生活の維持に必要なものを除き、原則、無観客で開催するよう協力を求めるとしています。

これらの案について都は政府との詰めの協議を急いでいて、23日、緊急事態宣言を出すことが決まれば、都内で行う措置として公表することにします。
東京都内では22日、新たに861人の感染確認が発表されています。
ことし3月に2回目の緊急事態宣言が解除されて以降では最も多く、2日連続で800人台となっていて、増加のペースが上がっています。

大阪府 “今週末からの適用を要請中”

関西でも、新型コロナウイルスの感染の急拡大に歯止めがかからないことから、大阪、兵庫、京都の3府県が、国に緊急事態宣言の発出を要請しています。

大阪府内では22日、新たに1167人の感染確認が発表されました。
1日当たりの感染者数としては過去5番目に多く、1000人を上回るのは3日連続です。
大阪府の吉村知事は22日、国に要請している緊急事態宣言について、人が大きく動く週末の人出を抑える必要があるとして、今週末からの適用を求めていることを明らかにしました。

吉村知事は「宣言の発出を決定したら、すみやかに適用すべきだと国に要請している。特に週末は人が大きく動くので、週末からお願いしたいということで話し合っている。まだ確定には至っていないが、僕としてはできるだけ早くお願いしたい」と述べました。
また、吉村知事は宣言に伴う措置について「人流を大きく抑制することが非常に大事だ。大規模なショッピングモールや百貨店、地下街、テーマパークなどをいったん大きく止めたいと国と話をしている。より強い措置が必要だ」と述べ、国との調整を急ぐ考えを示しました。

さらに、吉村知事はスポーツイベントについて「中止か延期、もしくは無観客で行うべきだ。人が多く集まることを避けることが基本的な考え方だ」と述べました。

兵庫県 大阪府と足並みをそろえ対応

兵庫県内では22日、新たに547人の感染確認が発表され、感染の拡大に歯止めがかからない状況が続いています。

県は21日、「まん延防止等重点措置」では十分な効果があがっていないとして、国に対し、兵庫に緊急事態宣言を発出するよう要請しました。

県は、政府による緊急事態宣言の発出を受けて、具体的な措置を決定する方針です。

この中では、宣言の期間や休業要請を出すかどうか、それに飲食店での酒類の提供の自粛要請をどの地域まで行うかなどが焦点となっていて、県は大阪とともに、政府と調整を進めています。
兵庫県の井戸知事は、関西広域連合の会合に出席し、「きのう過去最多の新規発生者を記録し、きょうも547人で史上2番目だ。大阪と足並みをそろえながら対応していきたい」と述べました。

京都府 感染確認 22日は過去2番目の多さ

京都府でも新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。
府内では22日、新たに148人の感染確認が発表されました。
1日の感染者数としては、ことし1月17日の154人に次いで、これまでで2番目の多さとなりました。
京都府の西脇知事は22日、関西2府4県などで作る「関西広域連合」の新型コロナウイルスの対策本部会議にオンラインで出席しました。

この中で、21日に、国に対して緊急事態宣言の発出を要請したことについて「感染拡大が顕著でいずれ病床のひっ迫が懸念される。大型連休を控え、関西で歩調をあわせようと判断した」と述べました。
会議では大型連休での感染拡大を防ぐため、京都をはじめ緊急事態宣言を要請している府県では、
▼飲食店などでの営業時間の短縮や酒類の提供の制限、
▼生活維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないこと、
▼大人数が利用する集客施設でイベント開催の延期・自粛を求めていくことを確認しました。
会議のあと西脇知事は、記者団に対し、現在、京都市など南部の16市町村で実施している飲食店などへの営業時間の短縮要請について、「北部でも何らかの対応が必要だとは考えており、国や地元自治体と調整したい」と述べ、時短要請を府内全域に広げることも選択肢だという考えを示しました。

そして「酒類の提供については禁止するのが望ましいと考えているが、国と調整したい」と述べ、酒の提供を制限する要請は実施すべきだという考えを示しました。
京都府は23日、対策本部会議を開いて措置を決定することにしています。

政府

新型コロナウイルス対策で、政府は、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に緊急事態宣言を出す方向で調整しています。
菅総理大臣は22日夜、総理大臣官邸で、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らと会談しました。

会談では、宣言を出す方針を決めるのにあたって、期間や講じる措置などについて詰めの協議を行ったとみられます。
そして、今後の方針が固まれば、23日にも、感染症の専門家などでつくる「基本的対処方針分科会」を開いて意見を聴いたうえで、政府の対策本部で、宣言を出すことなどを正式に決定する方針です。

西村大臣「これまで以上に強い集中的な対策が必要」

西村経済再生担当大臣は、22日の衆議院本会議で「緊急事態宣言の発出について、感染力の強い変異株を抑えるため、具体的に何を強化すべきか、都府県と緊密に連携し、詳細な詰めを行っている。期間も含めて検討し、近く『基本的対処方針分科会』を開き、専門家の意見を聴いたうえで、最終的に判断していく」と述べました。
そのうえで、宣言のもとで講じる措置について「大型連休の機会を捉え、これまで以上に強い集中的な対策が必要だ。休業要請を含め、具体的に、どういった業種に、どういう要請を行っていくのか、専門家の意見を聴きながら、都府県と緊密に連携し、速やかに判断していきたい」と述べました。

愛媛県「まん延防止等重点措置」の適用を要請

一方、愛媛県が「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請したことを受けて、政府は、東京都などに「緊急事態宣言」を出すことを決定するのに合わせて、新たに愛媛県に「重点措置」を適用する方向で最終調整しています。
愛媛県内では先月23日に、23人の感染が発表されて以降、この1か月、連日、30人から40人前後の感染が発表されています。
22日も新たに29人の感染確認が発表されました。

松山市での適用を想定

県は、県全体へのまん延の危機が迫っているとして、国に対し、「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請すると発表し、21日夜、要請手続きを行いました。

「重点措置」の適用には、政府の分科会が示す指標で「ステージ3」相当であることが目安となっていて、県は特に厳しい感染状況が続いている松山市での「重点措置」の適用を想定しています。
適用されるかどうかは、今後、感染症などの専門家でつくる政府の「基本的対処方針分科会」に諮られることになります。

全国の感染者数 5459人

22日は、これまでに全国で5459人の感染が発表されています。
奈良、三重、大分、福井の4つの県で、1日としての感染者数が過去最多となるなど全国的に感染拡大の傾向に歯止めはかかっていません。