継続審議中の新型コロナ治療薬「アビガン」新たな治験開始

新型コロナウイルスの治療薬としての承認が見送られ継続審議となっている「アビガン」について、製薬会社が新たな治験を始めたと発表しました。データがまとまり次第、厚生労働省に提出し、承認を目指すということです。

「アビガン」は富士フイルム富山化学が開発した新型インフルエンザの治療薬で、新型コロナウイルスの治療薬としても承認の申請が行われましたが、去年12月の厚生労働省の審議会では「提出されたデータでは有効性が明確に判断できない」などとして承認が見送られ、継続審議となっていました。

これを受け、富士フイルム富山化学は、新たな枠組みでの国内での治験を20日から始めたと発表しました。

対象者は重症化リスクが高い基礎疾患などがある50歳以上の患者で、発症から72時間以内に投与を開始して、重症化をどれくらい抑えられるか確認します。

本物の薬を投与した患者と偽の薬を投与した患者を比べて効果を調べますが、今回の新たな治験では患者だけでなく、医師にもどちらが本物の薬か知らせずにデータを集めるということです。

前回の治験ではどちらが本物か医師が把握している状態でデータを集めたため、医師の先入観が影響している可能性があると、厚生労働省の審議会で指摘されていました。

治験はことし10月にかけて行われ300人余りの患者のデータを集める予定で、まとまり次第、厚生労働省に提出し、承認を目指すということです。

富士フイルム富山化学は「重症化を防ぐ治療法を確立して、病床のひっ迫を回避できるようにしたい」とコメントしています。