EU当局 J&Jワクチン「ごくまれな副反応として記載すべき」

EU=ヨーロッパ連合の医薬品規制当局は、アメリカの製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナウイルスワクチンの接種後に脳などの血管が詰まる、血栓が確認された症例について「ごくまれな副反応として記載されるべきだ」とする結論をまとめました。一方で「このワクチンによる利益は副反応のリスクを上回る」と強調しています。

このワクチンの接種はヨーロッパでは本格的には始まっていませんが、アメリカでは700万人以上が接種していて、接種後、脳の血管などに血栓が確認されたという報告が8例あり、このうち1人が死亡しています。

調査を行ったEMA=ヨーロッパ医薬品庁は20日「これらの症例はごくまれなワクチンの副反応として記載されるべきだ」とする結論をまとめました。

血を固まらせる役割を担う血小板が減る一方で血の塊ができるというまれな症状で、イギリスの製薬大手アストラゼネカなどが開発したワクチンの接種後に報告された血栓の症例と似ているとしています。

免疫反応によるものと考えるのが妥当だとしていますが、詳しい原因はわかっていないということです。

8例はいずれも60歳未満で接種後3週間以内に起き、多くは女性でしたが、現時点では特定の年代や性別でリスクが高まるのかは確認されていないとしています。

EMAは「このワクチンによってもたらされる利益は副反応のリスクを上回る」として、接種が進められることを前提に、接種後、3週間以内に息切れや胸の痛み、脚のむくみなどの症状がみられた場合は、ただちに医療機関を受診する必要があるとしています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン「医療従事者に注意喚起を行う」

EMA=ヨーロッパ医薬品庁の発表を受けて、ジョンソン・エンド・ジョンソンは「まれに起きる健康に害のある出来事として、医療従事者に血栓症の診断や対処法に関する注意喚起を行う」とする声明を出しました。

声明では「製品を使う人の安全と安心は私たちの最優先事項だ。1回の接種で済み、簡単に輸送できるワクチンがもたらす利益を私たちは信じている。今後も安価なワクチンの公平な分配に尽力する」としています。